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No.0893
まどうとやまいぬさま
まどうと山犬さま
高ヒット
放送回:0562-A  放送日:1986年08月23日(昭和61年08月23日)
演出:フクハラ・ヒロカズ  文芸:沖島勲  美術:門屋達郎  作画:フクハラ・ヒロカズ
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あらすじ

昔、岡山の阿哲(あてつ)の山奥にある十文字峠に、いつもお腹をすかした二匹の狼がいました。この狼たちは、村に降りてきて馬や鶏を襲って食べたり、喉が乾けばトイレの小便まで飲んでいました。村人たちは夜中にやってくる狼たちを恐れて、トイレに行く事もできず、仕方なくオマルを使っていました。

しかし、もっと恐ろしいのは「まどう」という魔物です。夜になると十文字峠に時々現れるという噂で、まどうに会って行きて帰ったものはいませんでした。村人たちはまどうを怖がり、よほどの事が無い限り十文字峠を通る事はありませんでした。

ところが、この村に魚を売りに来る行商人の吾作だけは、毎朝十文字峠を通っていました。いつも「山犬さまにぃー」と掛け声をかけて、一番良い魚を峠の熊笹の中に放り込んでいました。

ある日、吾作がすっかり日が暮れた頃に、十文字峠にさしかかりました。すると、いつも吾作が魚をあげていた二匹の山犬が、今にも飛びかかりそうな勢いで吾作を待っていました。吾作は「わしを食おうと待っていたのか、、、いくら恩をかけても畜生じゃのぅ」と情けなくなりながら、覚悟を決めました。

すると、強い風が吹き山鳴りが起こると、山の谷間から恐ろしいまどうが現れました。二匹の狼は、さっと吾作の体の上に覆いかぶさり、まどうから見えないように吾作の姿を隠しました。まどうは吾作を見つける事ができず、反対側の谷へ消えてきました。

吾作は、山犬たちのおかげでまどうから殺されずにすみました。この話をきいた村人たちは「やっぱりあの狼は山犬さまだ」と敬うようになり、村人たちも食べ物をお供えするようになりました。いつも腹ペコだった狼も、もう村を襲撃しなくなりました。

(紅子 2012-5-14 1:41)


ナレーション常田富士男
出典稲田浩二(未来社刊)より
出典詳細岡山の民話(日本の民話36),稲田浩二,未来社,1964年03月15日,原題「山犬の恩返し」,採録地「阿哲郡哲西町矢田奥組」,話者「足立秀男」,採集「日笠恒子」,再話「稲田和子」
場所について十文字峠(地図は適当)
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地図:十文字峠(地図は適当)
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※掲載情報は 2012/5/14 1:41 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
4件表示 (全4件)
ゲスト  投稿日時 2015/7/1 16:51
遍照寺峠は、魔道と呼ばれ、魔物の通り道と言われる。
http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/0310177.shtml

岡山市北区の寺 真言宗金剛山遍照寺法界院
http://konotabino-tabi.sakura.ne.jp/photoalbum2/2011JPNOkHokain/top.htm

作品の中では十文字峠となっているが、話が変形したのかもしれない。
仮説として、遍照寺峠も考えられる。この峠は山深い。川を湊にして海魚の仕入もできるので、話の内容に近い。
また、採録地「阿哲郡哲西町矢田奥組」は山奥過ぎて、生の魚を売りに来る行商人は滅多に来られなかったと思われる。

岡山(吉備国)は鬼伝説が多いので、魔道と鬼が重なる昔話だと思いました。
ゲスト  投稿日時 2015/7/1 16:06
縄筋(なわすじ・なおすじ) 香川県に伝わる怪異。
化物、魔物、霊などの通る、先が見えないほど細長い一本道であり、この上に家を建てると良くないことがおこるという。
岡山県や愛媛県ではナメラ筋、ナマメ筋、ナマムメ筋、縄目(なわめ)、縄目筋、ナメ筋、 魔筋(ますじ)、魔道(まどう)などと呼ぶ。
http://raira314.web.fc2.com/nawasuzi.html
ゲスト  投稿日時 2015/7/1 15:58
十文字山325.9m 登山コース(岡山県岡山市)
http://www.geocities.jp/inochimijikasih20/jyumonjiyama.html
ゲスト  投稿日時 2015/7/1 15:52
有馬の昔話。魚屋道と山犬の恩返し
むかしむかし、神戸の海辺近くの魚屋さんは毎朝とれたての魚を六甲山を越えて有馬温泉まで運んでいました。この山道を魚屋道(ととやみち)と言います。
ある日、この魚屋道を若い魚屋さんが通っていました。動物好きの魚屋さんは山の中にお腹の空いた山犬がいると思い、ときどき余った魚を投げていました。「そうれ、魚だぞー!おいしい魚だぞー!」
有馬温泉からの帰りが遅くなったある日のこと、六甲の山道をとぼとぼと歩いて帰る魚屋さんの前に一匹の大きな山犬が現れました。「あっ!狼だ!」あわてて逃げる魚屋さんの着物の袖を山犬は力いっぱい引っ張ります。
「ひぇ~!助けてくれ~!」魚屋さんは大きな岩陰に引っ張り込まれました。
その時、ガサガサと大きな音がして狼の群れが山道を通り過ぎていきました。「そうか、魚のお礼に助けてくれたんだな!」この後も、魚屋さんは魚が余ると山犬に魚を分けてあげました。

今では、魚屋道はハイキングコースとして多くの人に親しまれています。

神戸有馬温泉の旅館 元湯龍泉閣
http://www.ryuusenkaku.jp/legend/02.html
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