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No.0889
とくらさんのおおわし
戸倉山の大鷲
高ヒット
放送回:0559-B  放送日:1986年08月02日(昭和61年08月02日)
演出:阿部幸次  文芸:沖島勲  美術:阿部幸次  作画:上口照人
写真あり / 長野県 ) 37649hit
あらすじ

昔、信州は戸倉山のふもとに長谷(はせ)の村があった。この村には清兵衛(せいべえ)という百姓がおり、この春には女房のお袖との間に子供も生まれ、幸せに過ごしていた。

ところがある日、赤子は戸倉山に住むつがいの大鷲にさらわれてしまう。このことがあってから、一滴の酒も飲まなかった清兵衛は、畑仕事もせずに人が変わったように大酒を飲むようになった。そんな清兵衛を見た村人は、「無理もない。人一倍子煩悩じゃったからのう。」と同情するのだった。

この様子を見かねたお袖の父親の三蔵は、一人で赤子の仇討ちに鉄砲をかついで戸倉山に登る。戸倉山の山頂で大鷲を待ち構えていると、果たしてつがいの大鷲が巣に戻ってきた。三蔵は1羽を首尾よく鉄砲で撃ち殺したが、つがいのもう一羽の逆襲で崖下に転落して死んでしまう。

三蔵を心配した村人が山に登ると、崖下には三蔵と大鷲の死体、それに血に染まった赤子のむつき(産着)が見つかった。父親も亡くし、赤子が生きているかもしれないという一縷(いちる)の望みも絶たれたお袖は、それ以後気が狂ってしまい、子守唄を歌いながら亡き子の産着をかかえて、あてもなく彷徨い歩くようになった。

これを見た夫の清兵衛は、いくら酒を飲んでも苦しみから逃れることはできないと悟り、息子の仇を討とうと決心。残る一羽を討つべく大鎌をもって雪の降るなか戸倉山に登る。それ以後、大鷲の姿を見ることはなくなったが、清兵衛も山から戻って来ることはなかった。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2012-6-18 11:38)


ナレーション市原悦子
出典長野県
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場所について戸倉山
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地図:戸倉山
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※掲載情報は 2012/6/18 11:38 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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ゲスト  投稿日時 2022/2/10 7:31
ゴンザさんが言っていた他にも「キジも鳴かずば」や「火ともし山」もそうですね。
吉兵衛どん  投稿日時 2021/9/15 17:23
救いがなさすぎる…
でも生まれて間もない我が子を亡くして幸せな日々が一瞬で奪われたわけだから気が狂っても酒に溺れるようになるのも無理はない…
ゲスト  投稿日時 2021/4/18 19:16
コメントを読んで心に響きました。
その通りですね
突然鷹に攫われるように…
ゲスト  投稿日時 2020/9/10 2:54
こういう場合、お代官とか村の有力者(長者)とか
どうしてたんでしょうか?
こんな時こそ権力では?
日頃偉そうでも、やっぱ人間をさらう大鷲の前ではプルプル震えていたんでしょうか?
ゴンザ  投稿日時 2020/5/20 21:40
これといい白馬岳の魔神といい、なぜ長野県の昔ばなしは消化不良エンドで終わるやつが多いんだろ…
ゲスト  投稿日時 2019/6/17 17:58
いくらなんでも救いがなさすぎるんじゃありませんか・・・
歳の順  投稿日時 2018/4/15 10:29
狂人となったお袖が怖い。
ゲスト  投稿日時 2018/2/11 23:42
自然の猛威、野生動物により、人が命を落とすことは現代でも起こりえます。
また人の命自体、自然の一部だとするなら、思い通りになるものではありません。
あるとき突然、失われるかもしれないのです。鷲に攫われるように。


ゲスト  投稿日時 2017/12/6 8:32
復讐は何も生み出さないとかかな…でもモヤモヤするっ…
ゲスト  投稿日時 2017/11/21 2:33
昔話の中には「こういう事があった」というだけの話も多いですね。教訓のためでもなく、笑わせるためでもなく、この話のような淡々と伝えるタイプの話の持つ余韻もまた良いものです。
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