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へか神さん(へかがみさん)

放送回No.0882(0555-A)
放送日1986年07月05日(昭和61年07月05日)
出典広島県
クレジット演出:山田みちしろ 文芸:沖島勲 美術:亀谷三良 作画:駒場浩
ナレーション市原悦子

先祖代々の苦労が染み付いた石神様の話

昔、安芸の川戸村外原では畑の中にがら(石炭)が多く、へかがよく壊れていた。へかというのは牛に引かせる鋤(すき:田畑の土を掘り起こす農具)の先端の事である。

春になると村のあちこちで畑の鋤入れをしたが、がらを引っ掛けてはへかが壊れるので村人は嘆いていた。中でも村外れの爺さんの畑はがらが最も多く、爺さんの先祖達ががらを少しづつ取り除いたおかげでなんとか作物ができるような有様だった。

ある時爺さんは食うや食わずの辛抱を重ね、ついに生まれたばかりのべこ(牛)を手に入れた。べこは大事に育てられ仕事もよく覚えたので、早いうちから鞍と鋤を付け鋤入れをする事になった。

そして鋤入れの日となり、爺さんはべこを畑に連れて行くとべこに畝(うね:畑の土を盛り上げた所)を引かせた。二畝三畝と引いていくべこを見て爺さんは喜んだが、突然鋤が何かに当たり、驚いたべこが逃げ出してしまう。爺さんがへかに引っかかった物を掘り起こしてみると、それは血の滲み出た奇妙な石であった。

爺さんはてぬぐいで血を拭いてみたが、石は一瞬しわの寄った人の顔のようになったので、薄気味悪く思った爺さんはその石をがら捨て場に捨ててしまった。ところが次の日も畑で同じ石がへかに引っかかり、嫌な予感がした爺さんががら捨て場に向かうと、やはり捨てたはずの石は消え失せていた。

爺さんと婆さんがこの石を近在の人に見てもらうと、「これは血の汗を流し畑を耕してきた爺さんの先祖の魂が石に宿っているに違いない」と人々は言った。村人はこの一件を我が事のように感じ、石を水で清め神棚を作りおまつりした。

すると石に滲んでいた血は消え、それからは不思議な事にへかががらに当たっても上手く押しのけるようになり、鋤入れもずっと楽になったという。村人達は誰ともなくこの不思議な石を「へか神様」と呼ぶようになり、今でも秋になるとへか神様のお祭りが行われているという事だ。

(投稿者: お伽切草 投稿日時 2013-8-18 20:22)


地図:山県郡北広島町外原(地図は適当)

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