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猫山の話(ねこやまのはなし)

放送回No.0867(0545-A)
放送日1986年04月26日(昭和61年04月26日)
出典松岡利夫(未来社刊)より
クレジット演出:塚田洋子 文芸:沖島勲 美術:安藤ひろみ 作画:塚田洋子
ナレーション常田富士男

あらすじ

昔周防の国の大きな屋敷に、両親から離れて年季奉公に来ているお梅という娘がおりました。独りぼっちのお梅は、首に鈴を結んだ一匹の猫を「鈴」と呼んで、それはそれは可愛がっておりました。

ところがある日のこと、何の前触れもなく「鈴」がいなくなってしまいました。お梅はあちこち探し回りましたが「鈴」は見つかりませんでした。お梅は、旅の坊様から九州のいなばの山の猫山に行けば恋しい猫に会えると聞き、居ても立ってもいられなくなって、お屋敷から暇を貰うと猫山に向けて出発しました。

お梅は幾日も歩き続けて、やっと猫山にたどり着きました。そうして山の中の大きな屋敷に一晩泊めてもらうことになりました。その夜更け、お梅の隣の部屋から何やら人の話し声がします。お梅がそっと覗いてみると、なんと人の姿をした大きな化け猫達がヒソヒソとお梅を食い殺す相談をしているのでした。

驚いたお梅が震えていると、懐かしい鈴の音が聞こえ、一匹の化け猫が部屋に入ってきました。それは、あの「鈴」だったのです。「鈴」は「ここは日本中の年取った猫が集まる所で、人間の来る所ではありません。」と、お梅にすぐ逃げるように言い、もし猫に襲われたらこれを見せなさいと言って、白い包みをお梅に渡しました。

ところが、お梅が逃げ出そうとすると、屋敷の門の所でたくさんの化け猫達が待ち伏せしていたのでした。お梅は恐ろしさを堪えて、「鈴」がくれた白い包みを化け猫の前に突き出しました。すると化け猫達は急に後ずさりし、屋敷の中に逃げ込んで行きました。お梅がふと見ると、門の上で「鈴」がお梅を見送っており、お梅は無事屋敷の外に出ることができました。

周防の国に戻ったお梅が白い包みを開けてみると、そこには恐ろしい形相の犬が小判を十枚咥えている絵が描かれていました。そうしてその小判は、お梅の掌にキラキラと舞い落ちたのでした。お梅は「鈴」から貰った小判 のおかげで年季奉公も開け、国の両親の元に帰って幸せに暮らしたということです。

(投稿者: ニャコディ  投稿日時 2013-7-19 23:13 )


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