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宝の川(たからのかわ)

放送回No.0852(0535-B)
放送日1986年02月15日(昭和61年02月15日)
出典福島県
クレジット演出:古辺光治 文芸:沖島勲 美術:阿部幸次 作画:上口照人
ナレーション常田富士男

あらすじ

昔、福島県の西会津、鬼光頭川(きこうずがわ)沿いのある村に、木こりの父親と娘が住んでいた。娘の名はおゆきといい、5年前におっかあが他界してから、おっとうと2人きりで暮らしていた。

そんなある日のこと、おゆきのおっとうは、木の下敷きなった仲間を助けるため、誤って自分も木の下敷きになってしまい、亡くなってしまった。村の者たちは、仲間を助けるために命を落としたおゆきのおっとうに、残されたおゆきの面倒は必ず見ると、墓の前で約束した。

ところが、おっとうが死んでしばらくは、あれこれとおゆきの面倒を見てくれた村の者も、次第におゆきに目をかけなくなった。仕方がなく、おゆきは川でシジミを採り、これを宿場に売りに行って生活していた。

そんなある夜、この辺りの村々の世話役の男がおゆきの家を訪ねてきた。世話役は、おゆきに会津の街で子守りの仕事を紹介すると言うが、おゆきは両親の墓があるこの土地を離れたくなかったので、この話を断った。すると世話役は、ここは元々自分の土地なので10日以内に出て行ってもらうと言う。子守の口を見つけたというのは口実で、世話役はおゆきを追い出そうとしていたのだ。

幼いおゆきのこと、なす術もなく10日が過ぎてしまった。次の日は、世話役が家を取り壊しに来ると言う。この日、おゆきは村ざかいのお不動様の祠の前に座り、これから先のことを思い、悲嘆にくれて泣いていた。すると、祠の中からなにやら声がする。おゆきが顔を上げると、なんと炎の中にお不動様が現れた。

お不動様は言う。「娘よ、案ずることはない。お前はこれからも川で採れる物を売るがよい。全ての裁きはワシがつける。」

次の日、おゆきはお不動様の言いつけどおり、川にシジミを採りに行った。すると、朝日が昇る頃、村を大きな地震が襲った。山津波は村の家々を押し流し、土砂の下に埋めてしまった。しかし、不思議なことにおゆきの家だけが、たった一軒山津波に呑まれずに残っていたのだ。そして世話役は、山津波に呑まれてしまったのか、それ以後二度と姿を見せることはなかった。

さらに、その後おゆきが川に行くと、川からシジミは消えており、代わりにキラキラ光るきれいな石が川から取れた。これを宿場に売りにいくと高値で売れ、おかげでおゆきは裕福になり、その後幸せに暮らしたということだ。そしてそれからというもの、光る石が取れたことから、この辺りを宝川(ほうかわ)と呼ぶようになったそうだ。 

(投稿者: やっさん 投稿日時 2011-11-19 12:35 )


地図:福島県耶麻郡西会津町宝坂大字宝坂宝川

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