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くぬぎの精といり豆(くぬぎのせいといりまめ)

放送回No.0849(0533-B)
放送日1986年02月01日(昭和61年02月01日)
出典辺見じゅん(角川書店刊)より
クレジット演出:前田康成 文芸:沖島勲 美術:門屋達郎 作画:前田康成
ナレーション市原悦子

あらすじ

昔、福岡の玉泉寺には5~600歳にもなるくぬぎの樹があった。

さて、ある状持ち(郵便屋)が門司(もじ)の鹿喰峠(ししはみとうげ)付近でひと休みしていると、何だか生暖かい風が吹いてきた。状持ちは背筋が寒くなり辺りを見回した。するといきなり頭を何ものかに掴まれ、とっさに持っていた刀でその手を切り落とした。振り返るとそこには大きな鬼の化け物がいて、昼飯替わりに状持ちを食おうとしたのだった。

しかし、鬼の腕からは手が再び生えてきて状持ちを襲ってきた。状持ちは度胸を決め「待った!」と声をかけた。「食われる覚悟はできた。だがこの世の思いでに頼みがある」と鬼に言うと鬼は何でも言ってみろと言う。そこでもっと巨大に化けられるか?と聞くと鬼ははるか見上げる大きさになった。そして今度はもっと小さくなれるか?と聞くと鬼は豆粒ほどの大きさになった。状持ちはその鬼を手に乗せるとパっと飲み込んでしまった。

これで食われることはなくなったが、今度は鬼が腹の中で暴れてひどい腹痛にみまわれてしまった。そこで知り合いの玉泉寺の和尚に助けを求めると、和尚は小僧に言い付けて豆を煎らせて持ってきた。そして状持ちの身体に向かって「鬼は外ー!」と大声で叫んで大量の煎り豆を食わせた。それに押しつぶされたか鬼は静かになった。すると急に状持ちの尻がむずがゆくなり、屁を出したくなった。和尚はかまわんから思いっきり屁を出しなさいと言うと、状持ちはものすごく大きな屁をこいた。

すると屁が鬼の顔の形になり天井を通り抜けて寺の庭で鬼に戻った。そのまま鬼は息絶えてしまった。この鬼はくぬぎの精で、峠を通る旅人を長年悩ませていたが、その業尽きて一生を終えた。それ以来、その寺では豆まきが恒例行事となり、病気回復や災難避けに持っていく人が後を絶たなかったそうだ。  

(引用/まんが日本昔ばなし大辞典)


地図:福岡の玉泉寺

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