子供のいない長者夫妻に、ようやく一粒種の女の子が生まれた。女児は絶世の美女に成長し、降る様に縁談が舞い込んだが、長者夫妻はアレコレ難癖つけて縁談を断っていた。
ある日、娘は病にかかり死亡。「こんなんなら、さっさと結婚させてやれば」と嘆くも後の祭り。長者夫妻は、人形作りの匠に頼んで娘そっくりの人形を作らせる。
長者の下男の青年が、人形に惚れてしまう。熱心に頼んで借り受け自宅に連れて帰る。下男は人形を女房の様に扱い、日夜語りかける毎日。
ある日、帰宅すると独り者の散らかった家のハズが綺麗に掃除され、洗濯物もされ、食事まで作られていた。まるで、女房が家事をしたみたいに。そして、そんな事が毎日々続いた。
独身なのに誰が家事をしているのか、下男は働きに行くふりをして自宅を監視していると、人形が家事をやりだした。驚いた下男の声に人形も気がつき、その拍子に囲炉裏へ。
大事な人形を燃やしてしまったのを、長者夫婦に詫びる下男。しかし、事の次第を聞いた長者夫婦は「私達の我がままで娘は結婚できないまま死んでしまった。よっぽど結婚したかったのだろう。おまえの所で、結婚の真似事が出来て娘も満足だったろう」と、下男を赦した。
(引用/まんが日本昔ばなし大辞典)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 青森県 |
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