No.0084
かみそりぎつね
かみそり狐
高ヒット
放送回:0051-A  放送日:1976年09月25日(昭和51年09月25日)
演出:杉田実  文芸:境のぶひろ  美術:下道文治  作画:上口照人
鳥取県 ) 51337hit
あらすじ

昔、ある野原にいたずらな狐の一族が住んでいた。この狐どもは、人をたぶらかしては頭をつるつるに剃ってしまうそうだ。そんなわけで、この狐たちには「かみそり狐」という呼び名がついていた。

ある日、このかみそり狐を退治しようと村の衆が集まったが、村でただ一人、狐に頭をそられていない才造(さいぞう)という若者が名乗りを上げた。才造はちょっと知恵があるのが自慢で、村の衆にも一目置かれていた。だから、才造なら退治できるかもしれないと思った。だが心のどこかで、才造もつるつるにされてしまうのではないかとも思っていたそうだ。

さて、才造は野原の真ん中で狐が姉さに化けるのを見つけた。狐の化けた姉さは、才造が見ているとも知らず歩いて行った。しばらくいくと、姉さは道端にしゃがみこんで、枯れ草を引っこ抜いてなにやらこしらえ始めた。やがて枯れ草の人形ができあがると、それが生きた赤ん坊に変わった。才造は狐の化けた姉さが何をするつもりかわからないので、そっと後をついていくことにした。

そうして姉さは、一軒の家へ入って行った。「遅くなっただな」家の中にはおばばがいて、枯れ草が化けた赤ん坊をあやし始めた。そこへ才造が駆け込んで、槍を姉さに向けながら言った。「おばば、騙されちゃなんねえ。この嫁さは狐が化けてるんだ。おばばの抱いている赤ん坊は枯れ草の人形じゃ。おら、この目でしっかり見てるんだ」「なにするだ、おらの大切な嫁こを殺す気だか?」「嫁っこでねえ、狐だ」「いや、嫁こだで」言い争ってもきりがない。そこで才造は知恵を働かせることにした。

才造は、姉さと赤ん坊を縛り上げると、杉の葉を燻し、その煙を浴びせ始めた。姉さと赤ん坊は煙を浴びて咳き込みだした。だが、いつまでたっても正体を現さないので、才造はだんだん心配になってきた。そしてとうとう、姉さと赤ん坊はパッタリと倒れてしまった。「死んでしまった!これでもおらの嫁こと孫が狐か?」

おばばは才造を責めた。「起きてけれ、返事してけれ」と、才造が呼びかけても姉さは返事をしなかった。「どうすべどうすべ、おらとんでもねえことをしてしまっただ」才造が困っていると、偉いお坊様が現れた。坊様は才造をなだめたが、気が済まない才造は、死んだ嫁さと孫を弔いたいと、坊様に弟子にしてくれるように頼んだ。坊さんもそれではと、才造の頭を丸めることにした。

だが、実はこの坊さんも、おばばも、姉さも、みんなあの「かみそり狐」が化けていたのだった。そうして見事才造もつるつるに剃られてしまったのだった。

(投稿者: 十畳 投稿日時 2011-8-3 15:40 )


ナレーション市原悦子
出典(表記なし)
DVD情報DVD-BOX第9集(DVD第42巻)
VHS情報VHS-BOX第6集(VHS第58巻)
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追加情報
本の情報サラ文庫まんが日本昔ばなし第19巻-第093話(発刊日:1977年9月20日)/童音社BOX絵本_第16巻(発刊日不明:1970~1980年頃)/講談社テレビ名作えほん第026巻(発刊日:1978年4月)
サラ文庫の絵本より絵本巻頭の解説には地名の明記はない
童音社の絵本より絵本巻頭の解説(民話研究家 萩坂昇)によると「鳥取県の昔ばなし」
講談社の300より書籍には地名の明記はない
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※掲載情報は 2011/8/4 4:32 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
10件表示 (全12件)
ゲスト  投稿日時 2021/7/15 17:22
まんが日本昔ばなし台本「かみそり狐」の台本では、美術監督下道一範が正解。
ゲスト  投稿日時 2021/7/2 16:41
かみそり狐の本当の美術監督は下道一範さん。下道文治さんではない。
Perenna  投稿日時 2020/8/2 23:24
似たような昔話は全国的に分布していますが、鳥取県の「髪そり狐」でしたら未来社の「鳥取の民話」にも収録されています。
「昔、山奥に大きな池があってな、この池の周りには、ようけえ狐が住んでおったちゅうわ。その狐は里に出て来ては人間を化かすちゅうことだった。ある時、一人の若い者が、「そんなばかげた話があるか。ようし、おれが行って、狐の正体を見届けてくる」って言いだした。「何を言うか、お前、頭を丸坊主にされてもええのか。あそこの狐は人の頭を坊主にする狐だが」って、みんなが止めた。」という書き出しで始まっています。
アニメでは嫁さんと赤ん坊を煙でいぶして殺していますが、民話では「赤ん坊を土間のたたきに投げつけて、頭が割れて死んでしまった」と書かれています。
伝承地は倉吉市上井だそうです。
あつ岡あつお  投稿日時 2019/12/16 18:18
なんだか胸糞悪い話だねぇ・・・。
ゲスト  投稿日時 2018/6/2 6:34
なんで才造は婆様も坊さんも狐なのに気が付かなかったんだろう
魔女キキ  投稿日時 2017/4/29 19:55
すぎの葉で燻されて、嫁さと赤ん坊が、コンコンと咳き込んた時点で気づかなきゃ、才造よ。
(>o<;))((;>o<) ゴホゴホ
松岡尚  投稿日時 2016/9/25 19:12
かみそり狐の美術は下道一範なのである。
坊屋良子  投稿日時 2015/12/8 13:45
現代のオレオレ詐欺に通じる話ですね
ゲスト  投稿日時 2015/10/26 21:25
それは、三本枝のかみそり狐の方ですね。
エビちゅ  投稿日時 2014/12/2 9:43
伊集院さんがラジオで話していた怖い話
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