放送回 | No.0785(0493-A) |
放送日 | 1985年04月27日(昭和60年04月27日) |
出典 | 埼玉県の民話(偕成社刊)より |
クレジット | 演出:芝山努 文芸:沖島勲 美術:門野真理子 作画:飯口悦子 |
ナレーション | 市原悦子 |
備考 | 身馴沢(身馴川、現在は小山川) |
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昔、秩父の金沢(かねざわ)に「じへい」という働き者の炭焼きがいた。じへいの炭窯は、山奥の身馴沢のほとりにあり、一度に80俵は焼ける大窯だった。
じへいは炭焼きの名人で、昔に死んだおっとうから作り方を教わった。さらにおっとうは「火を沢に投げ込んではいけない、沢女のたたりがあるから」とも教えてくれたのだが、じへいは炭を作っている最中に、うっかり火のついた枝を沢に放り込んでしまった。
これはまずいと思いながらも、飯の用意をするため水を汲みに沢へ下りていった。すると、「ぴちゃ、ぴちゃ」と水音が聞こえ、沢の方から顔の無い女が歩いてきた。女は「寒かんべえ、寒かんべえ。おめえ、寒かんべえ。」と言いながら、じへいに近づいてきた。女がじへいの顔に手を当てると、その場でじへいは気を失って倒れてしまった。
そしてどれほどの時が経ったか、夜になりじへいが目を覚ますと、すでに窯の火は消えていた。たった1本の火くずを沢に放り込んだばっかりに、1年分の炭が灰になってしまった。
(紅子 2011-6-9 4:41)
地図:埼玉県秩父郡皆野町金沢(地図は適当) |