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十六日桜(じゅうろくにちざくら)

放送回No.0770(0483-B)
放送日1985年02月16日(昭和60年02月16日)
出典愛媛の民話(偕成社刊)より
クレジット演出:古辺光治 文芸:沖島勲 美術:阿部幸次 作画:上口照人
ナレーション市原悦子

あらすじ

昔、愛媛県松山の山越の里に、おじいさんと孫の太吉が住んでおった。おじいさんは山から若木を取ってきては立派な植木に育て、それを街で売って暮らしておった。太吉は早くに両親を亡くしており、そんな太吉をおじいさんは大切に育てておった。

ある年の春、おじいさんは山で美しい桜の木に出会った。おじいさんはその美しさに心を奪われ、どうしても自分の畑でその桜を咲かせたいと思った。じゃが、桜の木はなかなか上手く育たなかった。おじいさんは諦めず、何度も桜の枝を取り木して、育てようとしておった。

そんな秋も深まったある日、おじいさんは咳が続いて寝こんでしもうた。そうして新しい年が明けても、おじいさんの病はさっぱり良くならなかった。

「じっちゃんは死んでしまうんじゃろうか…。」太吉はおじいさんの看病をしながら、寂しさで胸が一杯になった。そうして、桜の花を見ればおじいさんが元気になるかもしれないと考えた。

太吉は桜の枝に積もった雪を払い、根元の雪を取り除き、冷たいつぼみに息を吹きかけて温めた。「お願いだ。花を咲かせてくれろ。」そうやって桜に祈る太吉の姿が何日も続いた。じゃが、桜の枝は雪の中で硬いつぼみを閉じたままであった。

そうしてある朝のこと。死んだように眠っていたおじいさんが、ふと目を覚ますと、雪の中、桜の木の下で太吉が倒れておった。おじいさんが駆け寄り、震える手で雪の中から太吉を抱きあげると、太吉はようやく目を覚まし「じっちゃん、桜は咲いたか…?」と言ったそうな。

おじいさんが見上げると、桜は雪の中で見事な花を咲かせておった。太吉と一緒に桜を眺めながら、おじいさんの頬に熱い涙が流れた。

それからおじいさんの病は嘘のように元気になったそうな。その後、この桜の木は毎年正月十六日になると、時期を間違うことなく花を咲かせたということじゃ。そして、人々はそれを十六日桜と呼んだそうな。

(投稿者: ニャコディ 投稿日時 2013-3-31 21:25)


地図:龍穏寺(十六日桜)

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