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干し柿と塩びき(ほしがきとしおびき)

放送回No.0768(0482-A)
放送日1985年02月09日(昭和60年02月09日)
出典茨城県
クレジット演出:森川信英 文芸:沖島勲 美術:安藤ひろみ 作画:森川信英
ナレーション市原悦子

悪い事をすると報いが来るという話

むかし、茨城県高萩の山深いある村に五郎兵衛(ごろべえ)という男が住んでいました。この五郎兵衛、他人(ひと)に悪さをしては相手の困った顔を見て愉快がる男でした。

そんな冬の初めのある日のことです。隣の長兵衛が冬の支度の買い出しに町へ出掛けると聞き、五郎兵衛も長兵衛と一緒に出掛けました。五郎兵衛が長兵衛に何を買いに行くのかと聞くと、鍋、水瓶(みずがめ)、塩びき、それとお金が余ったらおっかあの好きな干し柿を買うと言いました。

これを聞いた五郎兵衛はいつもの悪さの虫が騒ぎ出しました。五郎兵衛は長兵衛をほっといて、先に町へ向かいます。長兵衛が町へ着いた頃は雪が本降りになっていました。長兵衛は急いで予定の品物を買い揃えました。

そうして願った通りお金が少し余ったので、干し柿を買おうと思い店を廻りました。けれども、どこを廻っても干し柿は売り切れていて、一つもありませんでした。それは、五郎兵衛が意地悪をして干し柿を買い占めていたからでした。

仕方無く長兵衛は鍋と水瓶を背負い、塩びきを持って五郎兵衛と一緒に村へ向かいました。山に入ると町とは違い雪は酷くなり、そのうち二人は段々腹が減ってきました。すると五郎兵衛は買い占めていた干し柿を食べ始めました。長兵衛が少し分けてくれと頼んでも五郎兵衛は耳を貸さず、先に行ってしまいます。

仕方なく長兵衛は、持っていた塩びきを食べてみました。すると、体中がポッカポッカあったかくなり元気を取り戻しました。長兵衛が山のてっぺんまで来ると、そこには干し柿を全部食べて凍えて動けなくなった五郎兵衛がいました。

五郎兵衛は長兵衛に助けを求めますが、意地悪をされた長兵衛は助ける気も起きません。そのまま通り過ぎようとしますが、「他人の邪魔などしねえ、意地悪もしねえ、絶対に悪さしねえ。」と五郎兵衛が許しを請うので、踵(きびす)を返して五郎兵衛に塩びきを食べさせます。こうして長兵衛は、凍って動けない五郎兵衛を背負って、やっとのことで村に着きました。

その後、五郎兵衛は言葉通り改心して、悪さなどしなくなり一生懸命働いて村の人達とも仲良く暮らすようになりました。

この事があってから山深い村では、寒いときはしょっぱいものを食べて、柿は冷えるからなるべく雪の降る日には食べない方がいいという言い伝えが残っているそうです。

(投稿者: カルラ 投稿日時 2013-2-16 18:44) 


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