情報の掲載されているページはこちらです。(本文に戻る)byまんが日本昔ばなし〜データベース〜[印刷用画面]

ささやき橋(ささやきばし)

放送回No.0767(0481-B)
放送日1985年02月02日(昭和60年02月02日)
出典松田司郎(鎌倉書房刊)より
クレジット演出:なべしまよしつぐ 文芸:沖島勲 美術:なべしまよしつぐ 作画:なべしまよしつぐ
ナレーション市原悦子

王老杉(おろす、大杉の精)と美しい娘トキの悲恋

昔あるところに、とても美しいトキという娘がいました。トキは「いつか自分の思う人が現れたら、自分で織った花嫁衣装を着てお嫁に行きたい」と考えていました。

ある月の晩、トキのところに、体も立派で顔立ちも凛々しい若者が現れるようになりました。トキと若者はお互いに気持を通わせ、いつのまにかトキは若者に心ひかれていきました。

トキは月の夜に現れる若者が、一体誰なのか知りたくなりました。トキは若者の着物に、糸のついた針を刺し、その糸の後を付いて行きました。すると、若者は林を抜けた先にある大きな王老杉(おろす)という、大杉の精だったのです。

この話を知り、災いを恐れた村人たちは、みんなで王老杉を切り倒す事にしました。しかし不思議な事に、硬い王老杉から剥ぎ取った木クズは、夜のうちに木の傷を埋めて治してしまうのでした。トキは涙ながらに「どうか木を切らないで」と訴えましたが、村人たちは木クズを燃やしながら、やっと99日間かけて切り倒しました。

立派な杉の木は、殿様の命令でお城に運ぶ事になりました。はじめはびくとも動かなかった王老杉は、トキがそっと寄り添うように手を添えると、うなずくように動き出しました。やがて大杉は切り刻まれ、お城へかかる橋になりました。

この橋は、月のきれいな夜になると、どこからともなく泣くような囁くような声が聞こえてきました。困った殿様は「何とかするように」とトキに言いつけました。トキは7日間かけて艶やかな花嫁衣装を織りあげ、月夜の晩に王老杉の橋にやってきました。

トキは夢を見ていました。トキは若者の胸に抱かれるように、若者に身を任せました。トキの体はふわりとお堀に落ち、お堀からはトキの体も着物も浮いてきませんでした。やがてこの橋を「ささやき橋」と名付けて、二人の事を語り伝えたそうです。

(紅子 2012-7-26 0:33)


参考URL(1):http://blogs.yahoo.co.jp/tendomaru2000/6684759.html
地図:福島市笹木野折杉の王老杉稲荷神社

※このページは印刷用の画面です。情報の掲載されているページは、こちらです。(本文に戻る)