放送回 | No.0762(0478-A) |
放送日 | 1985年01月12日(昭和60年01月12日) |
出典 | 二反長半(未来社刊)より |
クレジット | 演出:小堤一明 文芸:沖島勲 美術:池原昭治 作画:小堤一明 |
ナレーション | 市原悦子 |
昔、大坂のある池に一匹の蛙が住んでいた。この大坂の蛙は、毎日同じ仕事の繰り返しに嫌気がさし、仕事を投げ出して隣りの池へ向かった。
そこでは蛙たちが豆を作っていて、大坂の蛙は豆作りの手伝いをすることになったが、すぐに飽きてしまい、また別の池へ向かった。
そこではまた別の蛙たちが里芋作りをしていて、大坂の蛙は手伝いをすることになったが、すぐに飽きてしまい、何もせずにゴロゴロするのだった。
大坂の蛙が、どこか面白いところがないものかと考えて、京へ向かうことにした。大坂の蛙は京へ向かって跳び続け、やがて大坂と京の境目にあたる大きな山の頂上に着いた。すると、京の方向から一匹の蛙がやって来た。
大坂の蛙が京の蛙に「京は寺や神社があって面白いところだろう」と尋ねると、京の蛙は「京なんか面白くないところだ。大坂は面白いところだと聞き、向かっているのだ」と返答した。
それを聞いた大坂の蛙は「大坂なんかつまらない場所」と返答すると、京の蛙は「自分を大坂に行かせないために嘘を話している」と言った。二匹は互いに嘘を言っている、と睨み合った。
そこで二匹は「頂上から自分の目で景色を見る」と言い、二匹は天を貫く勢いで背伸びをし、大坂と京の景色を眺めまわした。しかし、大坂も京も大して変わらないと分かり、二匹の蛙はがっかりしながら、自分の故郷へ帰っていった。
実は、二匹があまりの勢いで背伸びをし、背中がそっくり返った状態で景色を見たので、二匹は前を見たつもりが後ろを見ていて、大坂の蛙は大坂を、京の蛙は京を見ていたのだ。
それからというもの、大坂の蛙は、生まれ育った大坂の池で頑張って畑仕事をしていくうちに、働くことが楽しくなり、仲間たちと仲良く暮らしたそうだ。
(投稿者: Kotono Rena 投稿日時 2013-11-14 20:35)