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ふとんの話(ふとんのはなし)

放送回No.0070(0042-A)
放送日1976年07月24日(昭和51年07月24日)
出典(表記なし)
クレジット演出:藤本四郎 文芸:沖島勲 美術:藤本四郎 作画:藤本四郎
ナレーション市原悦子
備考小泉八雲の「鳥取のふとんの話」が元になっている

互いをいたわり合って死んだ、悲運の兄弟

昔、ある田舎町に、新しい宿屋が店を出しました。このの主人はあまりお金もなかったので、必要なものをほうぼうの古道具屋さんから買い集めました。

ある日のこと、初めてのお客が二階の部屋で寝ていると、「兄さん、寒かろう」「おまえも、寒かろう」という話し声が、布団から聞こえてくるというのです。怖がった客はさっさと宿屋から逃げて行きました。次の日もまた別の客に同じような怪異がおこり、不審に思った宿屋の主人もその布団に寝てみる事にしました。すると、確かに布団からあの声がするのです。

この布団には、きっと何かワケがあるのだろうと思い、布団を買った古道具屋をたずねてみました。実はこの布団は、町はずれにある一軒の小さな借家に住んでいた家族のものでした。大変、貧乏で家賃を払うのがやっとだったところに、父親が死に母親も死に、とうとう身寄りのない小さな兄弟だけになってしまいました。兄弟たちは家財道具や着物を売ったりして暮らしていましたが、とうとう布団が一枚残るだけになりました。

厳しい冬のある日、家賃が払えなくなった兄弟は最後の布団を取り上げられ、家から追い出されてしまいました。行くあてもなくあちこちとさまよった兄弟は、元の借家に戻ってしっかりと抱き合って眠りました。「兄さん、寒かろう」「おまえも、寒かろう」それから数日後、二人は遺体で発見され観音堂に葬られました。

この話を聞いた宿屋の主人は、布団を観音堂に運びお経をあげてもらいました。それからは、もうこの布団がものを言う事はなくなったという事です。

(紅子 2012-1-14 3:29)


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