放送回 | No.0698(0438-A) |
放送日 | 1984年04月07日(昭和59年04月07日) |
出典 | 鹿児島県 |
クレジット | 演出:フクハラ・ヒロカズ 文芸:沖島勲 美術:西村邦子 作画:フクハラ・ヒロカズ |
ナレーション | 市原悦子 |
昔、鹿児島の伊集院の野田という村に、信心深いばあ様がいました。毎朝、村はずれの山の上のお寺にお参りに行くのを日課にしていました。
ところがそのお参りを快く思っていない嫁がいて、いつも毎日ブツブツ文句を言っていました。もちろん、ばあ様は寺参りで一日を過ごしていたわけではなく、畑仕事や孫の世話などよく働いていました。
ある朝の事、今日も朝一番で寺参りに出かけたばあ様の後を、嫁がこっそり追いかけました。ばあ様の寺参りをやめさせようと考えた嫁は、道途中のお堂に先回りして、お面をかぶってばあ様を脅かしました。驚いたばあ様は山を転がるようにして、家に逃げ帰りました。
ところが、すっかり日も暮れてから、嫁が頭から布をかぶってコソコソと帰ってきました。鬼の面がとれなくなってしまい、暗くなるまで待ってから人目に付かないように帰って来たというのです。亭主とばあ様がどう引っ張っても鬼の面はとれませんでした。
嫁の事を心配したばあ様は、毎日お寺にお参りしました。すると、ある朝ポロリと鬼の面が外れました。それからというもの、嫁もばあ様と一緒に毎朝お寺に参りするようになり、ばあ様にも優しく接するようになりました。
(紅子 2011-12-19 0:30)
地図:日置市伊集院町野田(地図は適当) |