昔、北海道の江差という所に、正覚院という寺があった。
ある時、檀家衆が寺に釣鐘を寄進することになり、京都の職人に釣鐘を作ってもらうことにした。
釣鐘は無事完成し、檀家衆が舟で釣鐘を運んでいる途中のことだった。江差に到着する一歩手前という所で、突然一匹の大ダコが姿を現し、大事な釣り鐘を舟から取って行ってしまったのだ。
これには何か訳があるのだろうと、後日正覚院の和尚が舟で沖合いに行き、大ダコにその理由を聞いた。大ダコは、「毎日、頭に舟が当たりオチオチ昼寝も出来ない。この釣り鐘を帽子にしたい」と言う。人々は同情して、大ダコに釣鐘を譲ることにして、寺の釣鐘は、また新しく作りかえることにした。
このことがあってから、その後江差の浜は豊漁が続いたそうだ。また大ダコは鴎島(かもめじま)の主となり、今でも天気の良い凪の日には、波間に大ダコのかぶった帽子が見えるという話だ。
(投稿者: マニアック 投稿日時 2011-10-22 21:11 )
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 坪谷京子(偕成社刊)より |
出典詳細 | 北海道の民話(ふるさとの民話6),日本児童文学者協会,偕成社,1978年9月,原題「大ダコさまのぼうし」,採録地「檜山郡江差町」,再話「坪谷京子」 |
場所について | 北海道 江差の鴎島(大ダコが住んでいる) |
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