No.0690
めしぬすっと
飯ぬすっと
高ヒット
放送回:0433-A  放送日:1984年03月03日(昭和59年03月03日)
演出:若林常夫  文芸:沖島勲  美術:門屋達郎  作画:若林常夫
山梨県 ) 26630hit
美味しいお魚は飯を沢山食べちゃうから、飯ドロボウだ。

昔、ある所に倹約家の老夫婦がいた。この夫婦の所にはしょっちゅう魚屋がやってきては、魚を売りつけようとしていたが夫婦は一度も買ったことがなかった。

ある日、魚屋は夫婦がなぜ魚を買わないのか探ってみることにした。 障子に穴を空けて家の中を覗いてみると、この老夫婦は松ヤニで出来たつくりものの魚を眺めながら、長時間かけて飯を食っていた。松ヤニの魚なら何度使ってもタダだから一度も魚を買わなかったのだ。

呆れた魚屋はそれなら本物の魚とどっちがうまいか、タダでやるから食ってみろと、縁側に魚を置いて夫婦が出て来るのを待った。しばらくしてじいさんが便所に行こうと出て来た。そして縁側に置いてある魚に気付き、驚いてばあさんを呼んだ。じいさんに呼ばれてばあさんも顔を出すと2人とも青くなった。

じいさんは「これがあると何杯も飯を食ってしまう。何杯も食えば米が無くなる!」と言った。 するとばあさんは「米が無くなるってことはこれは泥棒ですね!飯ぬすっとですね!」と賛同し、2人は杖を持って魚を突き落とし、便所に捨ててしまった。

これを見て老夫婦に恐れをなした魚屋は、もうそれ以来夫婦に魚を売りつけには来なかった。 で、この老夫婦はまるでケチなのかと言うとそうでもなく、村で橋をかけると言ってはお金を出し、道を作るといってはお金を惜しみ無く出していたそうだ。

(引用/まんが日本昔ばなし大辞典)


ナレーション常田富士男
出典土橋里木(未来社刊)より
出典詳細甲斐の民話(日本の民話17),土橋里木,未来社,1959年03月31日,原題「飯ぬすっと」,採録地「西八代郡上九一色村」,話者「土橋くら」
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※掲載情報は 2011/2/11 22:30 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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吉兵衛どん  投稿日時 2021/8/21 0:14
白ごろもの坊さまの家族みたいに毎日の食事にも事欠く家庭もあるのにそんな時代に魚を便所に捨てるなんて…なんてこと!!
あき  投稿日時 2021/1/4 15:21
最初の1分ほどずっと咀嚼音のシーンで長さに少し驚きです。
それほどよく咀嚼してるということを表してるのですね。
当時の魚屋さんは今よりずっと商売が大変だったんだろうなあ。
魚を当たり前に食べれられる今の時代に改めて感謝を忘れないようにと思った。
カケス  投稿日時 2020/8/8 19:46
魚屋さんの方にも、何とかしておじいさん・おばあさんに魚を買ってもらおうとする、執念が感じられますね。正になかなか買ってくれない客に向かっていく営業マンです。
昔も今も、営業はつらいですね。
この魚屋さん、魚を家の前で焼いたり(試食コーナー?)、とうとう売り物の魚を一匹あげてしまったり(無料サンプル?)とか結構営業センスがいいですね。そこにも注目してしまいました。なかなかやりての魚屋さんです。
貧乏神  投稿日時 2020/5/10 8:01
まんが日本昔ばなし特有の飛躍した推論。一番笑った話の一つです。
ゲスト  投稿日時 2020/4/10 17:35
はい、私も毎日白米のご飯だけで済ませるのでは、間違いなく脚気になるでしょうし、

この夫婦は一体どこからあんな活力が出てきているのかと不思議に思いました。

自分を律するのはいいのですが、個人的には本末転倒な違和感を覚えます。

いくら篤志家だからといって、

魚を厠に突き落とすところなど、まさしく、お魚さんの尊厳を全否定しているようで、いただけません。
ゲスト  投稿日時 2019/5/28 21:09
一番印象に残っているお話でした。タイトルが分かって嬉しい。
もこみち  投稿日時 2019/4/26 22:05 | 最終変更
じいさんと婆さんが、死んだ後
地獄行きーーになっかな???????
ゲスト  投稿日時 2018/5/3 22:35
ネットで有名な話。
enjya  投稿日時 2017/7/7 19:45
この話、子供の頃からすごく好きw

爺さん婆さんの咀嚼する音が嫌いという人もいるみたいだけど、
自分はこういう演技が大好き。
自分もつい何か食べたくなってしまう。

話の内容も、人間の真理を追求していて面白い。
食べる欲求のままにあれこれ食べるのではなく、
きちんと自分を律して、最低限の食物を、最高に味わって食べる・・・。

しかもただのケチではなく、金の使い所も知っている。

この爺さん婆さんは、尊敬に足る人物だと思う。
ゲスト  投稿日時 2017/5/29 8:45
最後のささやかな擁護に草
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