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No.0672
じごくあなのはなし
地獄穴の話
高ヒット
放送回:0422-B  放送日:1983年12月10日(昭和58年12月10日)
演出:古辺光治  文芸:沖島勲  美術:阿部幸次  作画:上口照人
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あらすじ

昔、北の海の村にとても仲の良い若い夫婦が住んでおりました。しかし、妻は病気になってすぐに死んでしまいました。

残された夫は、悲しみで何日も何日も漁もせずにぼうっとする日々を過ごしました。しばらくして、若者は漁にでることにしましたが、そこで村人は「地獄穴がある」といって近づかない岩島にきてしまいました。

ふと、島をみると岸壁に一人の娘が一心に昆布を拾っています。船もないのにどうしたことかと思って声をかけてみると、なんと、その娘は亡くなった妻にそっくりの顔をしているのです。

急いで岸に船をつけましたが、娘は何も言わずに「地獄穴」と言われる洞窟の中に逃げていきます。若者は妻恋しさに洞窟の中へどんどん入っていくと、洞窟を抜けた先には不思議なことに村がありました。

でも人の気配が全然しません。若者が不思議に思いながらも妻を探していると老人に呼び止められました。妻の居場所を教えてくれと言うも、老人は冷たく「まだお前が来るところではない」と突き放しました。そして、若者が気づくとどうしたわけか元いた船の中にいたのでした。

若者はどうしてももう一度妻に会いたくて、何度も岸に船をつけようとしましたが、どうやっても船をつけることはできませんでした。若者は諦めきれずそれからも島に行こうと十日も二十日も同じことを繰り返しました。どんどんやせ細っていく若者を心配した網元や漁師達は、若者を説得することにしました。

「あの不思議な村に行きたいと願った古老の友人は、帰ってからすぐに死んでしまい、二度と行きたくないと思った古老は長生きをした。きっと嫁さんがお前にまだ生きて欲しいと願っているから行けないのだ」

そう諭しましたが、若者の妻に会いたいという思いは変わりませんでした。それからも同じことを続けた若者はある日、とうとう帰ってこなくなりました。村人は、きっとあの村で夫婦仲良くやっているのだろうと言い合ったのでした。

(投稿者: もみじ 投稿日時 2012-9-8 11:52)


ナレーション常田富士男
出典北海道の伝説(角川書店刊)より
出典詳細北海道の伝説(日本の伝説17),安藤美紀夫,角川書店,1977年4年10日,原題「地獄穴の話」
場所についてシリパ岬
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地図:シリパ岬
追加情報
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※掲載情報は 2012/9/9 5:21 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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モチモチ寸(元・アーリアジャスール)  投稿日時 2018/4/14 21:54
自分がまんが日本昔ばなしの中でかなり好きな作品。
ゲスト  投稿日時 2016/2/27 12:29
まあ、これはこれで、バッドエンドとは思いませんが。
そう諭されてもなお、会いたい嫁がいるというのも幸せなことかもしれません。
ゲスト  投稿日時 2015/9/2 13:05
シリパ岬(しりぱみさき)
北海道余市郡余市町にある岬。ニセコ積丹小樽海岸国定公園の一部をなしている。
名称の由来 アイヌ語でSir-pa「海中に突き出す山の頭」を意味する。
積丹半島の付け根にあり、日本海を望む。岬は標高295.8mのシリパ山が海に落ちるような断崖が特徴的で、絶壁の下には洞窟があるという言い伝えがあり、伝説が残されている。妻を亡くして寂しく暮らす若者が、ある日、漁の帰りにシリパ岬の断崖の下で死んだはずの妻が海苔を採る姿を見つけ、船で近づくと妻は洞穴の中に逃げた込んだ。男は妻恋しさのあまり夢中で洞窟に入いる。するとそこは死者ばかりが暮らす部落になっていた。その中のある老人が若者に「ここはまだ、お前の来るところではない。早く帰りなさい」と強く言い、若者は追い返されてしまう。しかし若者はそれ以来腑抜けのようになり仕事も手につかず、やがて死んでしまった。この洞穴は、コタンからは昔より恐れられていたが、それ以来「オマンルパロ」(あの世への入り口)と呼ばれ、誰も近寄らなくなったという。
岬から積丹半島にかけての海岸線には、夫婦岩、ローソク岩、恵比寿岩、大黒岩などの名のついた奇岩が連続し、海岸沿いを走る国道229号から眺めることができる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%91%E5%B2%AC

シリパ岬について
夕日がおちるシリパ岬はサンセットダイヤモンドヘッドとも言われています。「シリパ」は、アイヌ語で「山の頭」の意味を持つもの。昔から変わらないその優れた景観から、余市の海のシンボルとして親しまれています。
http://www.jalan.net/kankou/spt_01408ab2012072460/
のんの  投稿日時 2012/9/10 0:27
おおっ!動画をお持ちなのですね!!うらやましい!!
もみじ  投稿日時 2012/9/10 0:06
のんの さん

私もこの動画を見ている最中もずっと、
最後は諭されて頑張って生き抜いていく展開になる!(`・ω・´)*
と勝手に思ってました(´・ω・`)、バッドエンドとはねぇ…。

奥さんが亡くなってその傷も癒えないうちに姿を見ちゃったのが悪かったんでしょうね…。(´・ω・`)、

余談ですが、
この手の話の「暗い洞窟の狭い道を腹ばいになって進む」などの描写は
産道を暗喩してるそうです(・ω・)
生まれ変わる工程を踏まないと別の世界には行けないということですね。
のんの  投稿日時 2012/9/9 17:56
若者が思い直して力強く生きていくラストだと思っていたのに・・・
こういうお話をDVDにして欲しいです!!
内容が気になって仕方の無いお話でした。
もみじ様、ありがとうございました。
二葉あいん  投稿日時 2012/9/6 8:38
「くしがき仙人」ミーツ「あの世のいりぐち」な話ですかね。

もっとも「古事記」におけるイザナギ・イザナミや
ギリシア神話のオルフェウスなど古来からよくある話だろうけど。

「あの世~」で、村に行きたいと思った老人がその後しばらくして息を
引き取ったのに対して、行きたくないと思った老人がその後も長生きした 
のくだりは本作でも引用されてますね。

「くしがき」の源造さんは村人達(とフクハラぬこ)の好意で
気持ちの整理がついたけど、本作の若者は網元の
「女房も自分の分もしっかり生きろと言うだろう」と言う諭しが
耳に入らなかったのは見るからに一途なキャラデザな事もあり
やっぱり若さのせいかね。
araya  投稿日時 2011/12/8 20:14
『北海道の伝説』(角川書店)を確認したところ、2つの地獄穴が紹介されておりますので、

旭川市と比布町の境にある突哨山が石狩川に突き出た尾根
http://g.co/maps/hmk38

余市のコタンから海に出たシリパ岬
http://g.co/maps/nj52p

両方を上げておきます。「あの世のいりぐち」に似た話は後者のシリパ岬になります。

余市一帯は地獄穴(石灰岩の浸食によってできた穴)が多く、南東に5kmほど行ったところにあるフゴッペ洞窟の壁画なんかは有名ですね。確か『蟲師』のあとがきコーナーで宇宙人みたいな絵があったと紹介されてましたわ♪
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