昔昔あるところに、商売で大層賑わっている町がありました。
ある夜の日から、その町に夜な夜な謎の大きな石が、ひとりでに転がるようになり、町人たちは恐れるようになりました。そして、町の若い衆がその石を退治しようとするのだが、全く歯が立たなかったそうな。
そんなある日、町人の中の或る人が、その石の正体を見届けようと決心し、いつものように石が現れた時、その後を尾行しました。石の後を付けて行くと、町外れの墓場に到着。さらに尾行すると、草むらが生い茂った寂しい場所に着き、そこにぽつんと石があり、謎の石はその石と合体しました。
翌朝、町人たちはそこに駆けつけたところ、なんとそれは墓石だった!長い間、ほったらかしにされていたようで、墓石の周囲は雑草ボウボウ、見るも無残な状態でした。
町人たちは、「こんな寂しい場所にほったらかしにされたから構ってほしくて、毎晩毎晩町の中を転がって誰かに知らせようとしていたに違ぇねぇ」と言い合い、早速その墓石の周囲を掃除し、お供え物をしました。
以後欠かさず、墓参りをし続けたせいか、それからはもう二度と夜な夜な石が転がるようなことはなかったそうな。
(引用/まんが日本昔ばなし大辞典)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 上州の伝説(角川書店刊)より |
出典詳細 | 上州の伝説(日本の伝説27),宮川ひろ,角川書店,1978年2年10日,原題「大泉寺のチャンコロリン石」 |
備考 | 尻切れ |
場所について | 大泉寺 安中市安中3丁目21-44 |
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