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からいもと盗人(からいもとぬすっと)

放送回No.0661(0415-A)
放送日1983年10月22日(昭和58年10月22日)
出典熊本県
クレジット演出:芝山努 文芸:沖島勲 美術:門野真理子 作画:芝山努
ナレーション市原悦子

あらすじ

むかし、天草の須子の辺りに太助どんというたいそう子煩悩な船乗りの頭がおった。その頃天草辺りは不作続きで、太助どんの家も飯の度に近所の子供が集まるものだから、もうすっかり食べ物が底をついておった。

そんなある日、太助どんは天草から薩摩へ荷を運ぶ事になった。薩摩の荷主に荷を届けた太助どんは、荷主の家で出された夕食の膳の中に見たことのない食べ物を見つけた。「こりゃあ、旨い!」太助どんは初めて食べるカライモ(サツマイモ)の旨さに驚いた。そしてなんとかこれを自分の畑で育てたいと思い、荷主に譲ってくれるよう頼みこんだ。じゃが、カライモは御禁制品であり、薩摩から他国に持ち出すことは許されんのじゃった。

翌日、太助どんが薩摩から船を出す時にも、御禁制品の持ち出しがないか、役人の取り調べはそれは厳しいものじゃった。そうして取り調べも無事終わり、太助どんが船を出そうと帆を上げた時じゃった。荷主の旦那が港に走り込んできた。「太助どん、子供さんの土産の手鞠を忘れてごわそう?」荷主の旦那はそう言って、船に手鞠を投げ込んだ。太助どんが手鞠を良く見ると、糸の間からカライモの苗が覗いておった。「旦那、ありがとうございます……。」こうして御禁制のカライモは薩摩から天草へ持ち出された。

作り方も分からないままに、太助どんは夢中でカライモを育て始めた。相変わらず天草は日照り続きじゃったが、カライモは元気に蔓を伸ばしていった。春が過ぎ夏になって、畑一面に蔓が伸び、小さい花をつけたが、どういう訳か実は一向にならなかった。そしてもう、太助どんがカライモのことを忘れかけていた頃、毎夜、不作の畑を荒らす盗人が出るようになった。

ある夜、またしても現れた盗人を追いかけて、太助どんはカライモの畑へ足を踏み入れた。焦って逃げる盗人は長く伸びた蔓に足を取られて倒れてしもうた。そこに太助どんが見たものは、蔓の先に生ったたくさんのカライモじゃった。「そうか、カライモは土の中に生るものじゃったのか。」そりゃあもう、たいそうなカライモが土の中からごろごろと出てきたという。

それから天草ではどこの家でもカライモを作ることになったそうな。

(投稿者: ニャコディ 投稿日時 2011-12-23 0:15 )


地図:天草の須子(すじ)周辺(地図は適当)

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