両親に先立たれた、姉と弟が小さな家に住んでいた。姉は女手ひとつで弟を育てていたが、その弟は毎日怠けてばかりで困らせていた。
ある日、弟は神様である家のあらゆる物を棒きれで叩くいたずらをした。見かねた姉は「お前、そんな事をしたら今にバチがあたるよ!」と注意したが、弟は桶を手にするとプイと出て行ってしまった。
弟はそのまま行方不明となってしまった。姉は心配になり、弟を捜しに出かけた。途中、川の魚たちに会い、弟の行く先を尋ねてみた。しかし、どの動物たちも、弟を見かけたが、行く先までは教えてはくれなかった。
途方に暮れた姉は、さらに川下の方へ行くと、鮭たちが泳いでいるのに出くわした。姉は鮭たちにも尋ねてみると、ついに弟の行先を教えてくれた。
それによると「男の子は、神様のバチがあたって月の世界へ連れていかれました。」というのだ。それを聞いた姉は、その場で泣き崩れてしまったのだった。
やがて夜になり、姉が空を仰ぐと月に水汲をしている弟の姿が見えた。弟は今でも、月で水を汲んでいるそうだ。
(投稿者: マニアック 投稿日時 2011-7-1 23:13 )
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 松谷みよ子(角川書店刊)より |
出典詳細 | 自然の精霊(日本の民話02),松谷みよ子,角川書店,1973年8年23日,原題「月へ行った子」,伝承地「北海道」 |
場所について | 北国の山あい |
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