放送回 | No.0655(0411-B) |
放送日 | 1983年09月24日(昭和58年09月24日) |
出典 | 瀬川拓男(角川書店刊)より |
クレジット | 演出:杉井ギサブロー 文芸:杉井ギサブロー 美術:馬郡美保子 作画:江口摩吏介 |
ナレーション | 市原悦子 |
ある所に庄屋の息子、刀屋の息子、寺の小坊主がいて、この三人は暇を見付けては悪さばかりしていた。
ある日、寺に三人集まって何か面白いことがないかと相談していると、小坊主が村の者を集めて「百物語」をやろうと提案した。百物語とは深夜百本のろうそくを立てて怪談をし、ひとつ話し終える度にろうそくをひとつ消していき、百本目のろうそくが消えると本当に化け物が現れると言われる怪談会だ。
後日、村の者を集めて百物語を始めた。そして99本目のろうそくが消えた時、小坊主が突然声を上げた。そこには幽霊と人魂が飛んでいて、皆肝をつぶして逃げ出した。だがそれは小坊主と庄屋の息子と刀屋の息子が仕掛けたお化けだった。全員逃げ出した後三人はまた酒を飲み始めた。
するとどこからか生臭い風邪が吹き、百本目のろうそくが消えた。ふと見ると女が立っている。こんな時刻におかしいなと思って観ていると、その女の口は裂け、声高らかに笑いだした。三人はそれに肝をつぶし、小坊主は気絶、刀屋の息子は逃げようとして戸板に頭をぶつけて気絶、庄屋の息子だけは転がるように山寺の道を書け下りて助かった。
後日、小坊主は気がふれて生まれた里へ帰され、刀屋の息子は半病人になって寝込んでしまった。庄屋の息子は何とか無事だったが、親父にこっぴどく怒られ、お宮さんに願をかけてもらいにお参りに行かされた。
今度ばかりは恐ろしかった息子は20日ばかり真面目に通っていたが、ある日お参りにいくと見知らぬ可愛い娘がうつむいている。声をかけると遠くの街へ売られる途中に逃げてきたのだ言う。ついスケベ心がわいた息子は娘を神社に誘い、神社の中でこれからの事を考えようと話した。そしてこれからは自分が面倒を見てやると言った。
すると娘は「こんな私でも?」と言って振り向くと、娘の顔が百物語をやった時の女の顔になった。庄屋の息子は肝をつぶし、それ以来気がふれたまま一生をすごした。
(引用/まんが日本昔ばなし大辞典)