No.0643
かせぎめ
かせぎめ

放送回:0403-B  放送日:1983年07月30日(昭和58年07月30日)
演出:三輪孝輝  文芸:沖島勲  美術:三輪孝輝  作画:三輪孝輝
東京都 ) 13006hit
あらすじ

八丈島のある村に、おじいさんとおばあさんの夫婦が住んでいました。

ある日、家の戸をとんとんと叩く者がありました。応対してみるとこれが見かけた事の無い若い男で、「山中で道具を無くし、探している内に道に迷ったのでひと晩泊めて下さい」との事。老夫婦は早速イモがゆを炊いて御馳走してやり、若者を泊めてやりました。

翌日、若者は泊めてくれた礼を言い、「身寄りの無い独り者なので、此処で雇って下さらんか」と老夫婦に頼みました。老夫婦も若者の申し出を喜び、「良かったらわしらの息子になってずっと此処に住んで下され」と言いました。

若者は本当に働き者で、毎日山に登って大きな木を沢山切り、町へ行って売って大儲けをしました。老夫婦の暮らしは少しずつ豊かになりました。

ある時、若者が山へ行った後におじいさんがふと家の中を見ると、木を切る為のノコギリを忘れているのに気がつきました。その内に雨が降りそうになったので、おばあさんは若者に着せる為の蓑笠を携え、おじいさんはノコギリを持って山へ登りました。

すると、若者が仕事場にしている森の一角で、人の背丈ほどもある大きなカマキリが、自分の鎌で杉の木をなぎ倒しているのに出くわしました。若者の正体は大カマキリだったのです。自分の正体を知って驚いている老夫婦に気がついたカマキリは、羽音も凄まじく空へ舞い上がると、そのまま山の向こうへ飛び去ってしまいました。

その後、老夫婦はカマキリの若者がこしらえた蓄えのお陰で安泰な暮らしを送る事が出来ましたが、大カマキリの若者は二度と老夫婦の元へは帰りませんでした。老夫婦はキダマ様にカマキリの若者の後生を祈りながらひっそりと暮らしたと言う事です。

以来、八丈島ではカマキリの事を「かせぎめ」と呼ぶのだそうです。これは「よく稼ぐ奴」と言う意味なのです。

(投稿者: 熊猫堂 投稿日時 2013-9-22 15:05 )


ナレーション常田富士男
出典浅沼良次(未来社刊)より
出典詳細八丈島の民話(日本の民話40),浅沼良次,未来社,1965年08月15日,原題「かせぎめ」,採録地「大賀郷」,原話「菊池のぶか」
場所について八丈島の大賀郷(地図は適当)
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地図:八丈島の大賀郷(地図は適当)
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※掲載情報は 2013/9/22 16:10 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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Perenna  投稿日時 2020/4/4 3:46
>行きずりの娘さま。

「カマキリの若者が正体を知らない娘に惚れられて結婚したら・・・」というのは夢があって、いろんな想像力であれこれと結末を考えてしまうと思います。
ですが、昔話の世界では、そんなに単純に都合よく話は展開しないものなんですよね(笑)
先日まで未来社の「京都の民話」を読んでいました。
大江山の酒呑童子が、なぜ鬼になったのか?という昔話が書かれていました。
「酒呑童子はもともと、若くて凛々しい僧侶でしたが、ある娘に惚れられて道ならぬ恋に落ちたそうです。
しかし僧侶の身ですので、まわりの人たちから二人の男女は引き離され、娘は悲しみのあまり池に身を投げて自殺してしまいます。
僧侶は娘の死を嘆いて自殺しようとしましたが思いとどまり、あちこちの山岳で厳しい修行を重ねるうちに、いつしか鬼のような形相と体格になってしまいました。
大江山に修行に行ったさいに、たまたま通りかかった村の娘が初恋の女性と似ていたことから思わずさらって来てしまい、それから女人を食らう酒呑童子と化してしまったそうです。」

また「京都の民話」には、よく働いて老夫婦を養っている天女の話も書かれています。
「天から降りてきて水浴びをしていた天女は、羽衣を老夫婦に隠されてしまい、天に帰れなくなってしまいます。
天女はしかたなく、老夫婦の娘として生活することになります。
天女は一生懸命、老夫婦に親孝行をしたので、一家は大金持ちになります。
すると老夫婦は、急に態度を改めて天女を邪険に扱い、さっさと出ていけ!と家から追い出してしまいます。
天女は羽衣がないので天にも帰ることができず、泣く泣くあちこちを転々としましたが、いちばん長くとどまっていた土地に今では神社が建てられているそうです。」

たぶん八丈島のこのカマキリも、老夫婦のところにいつまでも留まっていたら、あまりいい結末を迎えることはできなかったのではないでしょうか?
せっかくの夢を壊してしまうようで残念なのですが、昔話って、そういう理不尽で残酷なものが多いんじゃないかと思ったりもします。
行きずりの娘  投稿日時 2020/4/2 6:14
もしもこのカマキリの若者が正体を知らない娘に惚れられて結婚したら・・・
そしたらどんな子供ができたのかと思ったのは私だけじゃないはず・・・
よく働いて老夫婦を養っているんだから娘さんたちから見たら夫にしたい男ベスト10に入ることまちがいなしでしょうし・・・
Perenna  投稿日時 2020/3/29 0:29
昭和9年に出版された「海島民俗誌・伊豆諸島編」には、八丈島の方言が紹介されています。(コマ番号97/129)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1453607/97

蟷螂(かまきり)は、カセギメ(大賀・樫立)、ゲンベイ(中之郷)、ゲンビーメ(末吉)というそうです。
たぶん、「稼ぎ女」(かせぎめ)とか「源兵衛の姫」(げんべえのひめ)という意味なのではないかと思われます。
八丈島の方言には「メ」という語尾が多いそうですが、これはツバメとか、スズメ、カモメ、ムスメ(娘)、ヨメ(嫁)といった女性名詞(?)と関係しているらしいですね。
カマキリは、メスのほうがオスよりも体も大きくてたくましい体つきをしています。
おそらくこの昔話のカマキリも本来はメスで、鶴の恩返し的な話だったのではないでしょうか?
ゲスト  投稿日時 2015/9/4 16:49
八丈島は話し言葉は、京言葉に似ていますね
熊猫堂  投稿日時 2013/9/22 15:05 | 最終変更
カマキリと言うと、メスがオスを食べてしまうと言う習性からか怖い印象が強いですが、この物語のカマキリは気の良い働き者で好印象ですね。
araya  投稿日時 2011/12/9 23:06
『八丈島の民話』(浅沼良次,未来社)によると、大賀郷で採録された話とのことですが、それ以上の内容は出てきませんでした。但し、ちょうど大賀郷の文字が山付近にありましたので、そちらの方でポインティングしています。

http://g.co/maps/tpruy
マニアック  投稿日時 2011/12/3 20:09
ナレーション、市原悦子。カマキリは、「みなしごハッチ」のカマキリに、そっくりだった。
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