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人だまのはなし(ひとだまのはなし)

放送回No.0632(0396-B)
放送日1983年06月11日(昭和58年06月11日)
出典西山敏夫(偕成社刊)より
クレジット演出:平松達也 文芸:平見修二 美術:阿部幸次 作画:なべしまよしつぐ
ナレーション常田富士男

体を縛り付けても心までは縛れない、という話

昔ある村に、働くだけが全てのくそ真面目な若者がいました。死んだ父親が大酒のみの怠け者だったので、それが理由で息子は堅物になったのだろうと、村人たちは噂していました。

明日から田起こし(田んぼを耕す作業)が始まるという夜、墓場の方からふらふらと死んだ父親の人魂が飛んできました。この人魂は酒が大好きで、村でにぎやかな事があったりすると出てきて、こっそり酒を飲み逃げしていくのでした。

若者はあまりの恥ずかしさに、死んだ父親の兄である寺の和尚さんに相談しました。和尚さんは、大酒飲みだった父親には全く似ておらず、修業一筋の浮世離れしたガチガチの人格者でした。甥である若者のために、父親の人魂を捕まえる作戦を提案してくれました。

さっそく若者は言われた通り、酒を買って用意し、父親の人魂をおびき出すことにしました。やがて酒を目当てにやってきた人魂を、飯櫃(めしびつ、ごはんを入れる桶)に閉じ込めることに成功しました。

すると同じタイミングで、寺の和尚さんが息絶えてしまいました。知らせを聞いた若者が飯櫃を抱えたまま、和尚さんの元へ駆けつけると、飯櫃から逃げ出した人魂がするすると和尚さんの口の中に入っていきました。人魂が戻った和尚さんは、何事もなかったように再び息を吹き返しました。

驚いたことに、村を飛び回って酒を飲んでいた人魂は、和尚さんの人魂だったのです。真面目にやっていれば良い、というわけではないんだなあ、と和尚さんは考えを改めました。そして、若者もくそまじめに仕事だけの生活から、時には村人たちの家にもお呼ばれして、周囲の人たちとも交流するようになりました。

(紅子 2013-7-30 1:22)


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