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No.0630
おくびょうなゆうし
おくびょうな勇士

放送回:0395-A  放送日:1983年06月04日(昭和58年06月04日)
演出:山田みちしろ  文芸:沖島勲  美術:折芝千草  作画:本田敏行・洞沢由美子
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あらすじ

昔、京の都にお城勤めをしている勇士がおった。

体も大きく肩をいからせて歩く姿は大変頼もしく、村人たちはこの勇士を「たのもしどん」と呼んで慕っておった。村人たちは「この村にはたのもしどんがいるから安心だ」と口にしていた。しかしたのもしどんは、大きな体とは反対に肝っ玉は大変小さい男であったが、それは誰にも秘密にしてあった。

ある日のこと。たのもしどんは仕事の関係で朝早く家を出ることになった。そのためかかどん(妻)が夜も明けぬうちから、たのもしどんに持たせる弁当を作るため台所に立っていた。何気なくかかどんが振り向くと、台所の物陰に人影があった。

驚いたかかどんは、あわててまだ寝ていたたのもしどんここぞとばかりに助けを頼んだ。たのもしどんは恐ろしくて仕方がなかったが、かかどんの手前、刀を持って裸のまま台所へ向かった。

たのもしどんが台所に来ると、刀を持った体の大きい裸の男がこっちを見ていた。たのもしどんはすっかり恐ろしくなり、部屋に戻り寝間着をかぶってまた寝てしまった。たのもしどんは「自分はこれからお城仕えがあって、何かあってはならぬ身。代わりにおまえが行って来い」とかかどんに言い、再び台所に向かおうとはしなかった。

かかどんはすっかり呆れ果ててしまいながらも、台所に向かおうとした。するとその時に部屋の障子が外れて、寝間着をかぶっているたのもしどんの上に落ちた。たのもしどんは盗人が襲ってきたものと勘違いし、「命だけはお助けを」と言ってぶるぶると震えていた。

そうするうちに夜が明けてきた。かかどんが台所に行くと台所に日がさして、かかどんの影が映っていた。盗人だと勘違いしたのは、自分の影だったのである。

その日、何事もなかったかのように、たのもしどんはお城へと向かった。そして「わしに恐れをなして盗人め、何も盗らずに出ていきおったぞ」と肩をいからせて今日もお城へと向かうのであった。

(カケス  投稿日時 2014/3/2 15:21)


ナレーション市原悦子
出典岸なみ(偕成社刊)より
場所について京の都
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※掲載情報は 2014/3/2 18:43 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
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マルコ  投稿日時 2013/7/29 22:39 | 最終変更
今昔物語『兵だつる者、我が影を怖るること』というお話が類似しています!!

今は昔、ある受領の郎等で、人に勇猛の士と思われようとして、やたら勇者ぶった振る舞いをする男があった。(ある日)朝早く家を出て、どこかへ行くつもりでいたので、男がまだ寝ているうちから、妻は起き出して食事の用意をしようとしていると、有明の月の光が板間を漏れて家の中に差し込んできた。その月の光で、妻は自分の影が壁に映ったのを見て、童髪を振り乱した大男の盗人が物取りに押し入ったと早合点し、あわてふためいて、夫の寝ているところに逃げていき、夫の耳に口をつけて、ひそかに、
「あそこに大きなぼさぼさの童髪の盗人が物取りに入って立っていますよ」
と囁いた。聞いて夫は、
「そやつのそっ首、打ちおとしてくれる」
と跳ね起きるや、髻(もとどり)も丸出しの裸のまま、太刀を持って出ていったが、その自分の影がまた、壁に映ったのを見て、
「なんと、童髪のやつではなく、太刀を抜いた者ではないか」
と思い、
「これでは俺の頭が打ち割られるやもしれぬ」
とおじけづき、それほどの大声でなく、
「おう」
と叫んで妻のいる所に舞い戻り、妻に、
「そなたは名うのての武士の妻とばかり思っていたが、えらく見誤ったものだ。何が童髪の盗人だ。髻を出して太刀を抜き持った男じゃないか。あやつはえらい臆病者だぞ。おれが出てきたのを見て、持った太刀を落とさんばかり震えおったわ」
と言う。これは自分の震えている影が映ったのを見て言ったのであろう。さて、妻に、
「そなた行って、あいつを追い出せ、俺を見て震えていたのは恐ろしかったからだろう。俺はこれから用足しに出かける門出の際だから、ちょっとした手傷でも負うてはつまらぬ。女はよもや切るまい」
と言って、夜着をひっかぶって寝てしまった。 妻は、
「なんてだらしがない。こんなざまで、よくも夜の見回りなんかできること。せいぜい弓矢を持って月見に行くのが関の山でしょう」
と言い、起き上がってもう一度様子を見に出ていこうとした途端、夫のそばの障子が不意に倒れ、夫に倒れかかった。夫は、さてはあの盗人が襲いかかった、と思い、大声で悲鳴をあげた。妻は腹が立つやらおかしいやらで、
「もし、あなた。盗人はもう出ていきましたよ。あなたの上には障子が倒れかかったのよ」
と言ったので、夫は起き上がって見ると、なるほど盗人はいない。ただ、障子が倒れかかったのだと分かると、やおら起き上がって、裸の胸をたたき手に唾をつけて、
「あいつめ、実際、俺の家に入って簡単に物をとっていけるわけがない。あの盗っとめ、障子を踏み倒すだけで逃げていきおった。もう少しいたら、きっと引っ捕えてやったろうに。お前の手抜かりで、あの盗っとを逃がしてしまったのだぞ」
と言ったので、妻はおかしくなり、大笑いして終わった。 世間には、こんな馬鹿者もいるのだ。まことに妻が言ったように、あれほど臆病で、なんのために、刀や弓矢を携えて人を警固する武者の役を務めるのか。この話を聞く人は、皆この男をあざけり笑った。これは、妻が人に語ったのを聞き伝えて、こう語り伝えているということだ。
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