情報の掲載されているページはこちらです。(本文に戻る)byまんが日本昔ばなし〜データベース〜[印刷用画面]

東光寺のケヤキ(とうこうじのけやき)

放送回No.0617(0386-B)
放送日1983年04月02日(昭和58年04月02日)
出典新潟県
クレジット演出:小林治 文芸:沖島勲 美術:折芝千草 作画:須田裕美子
ナレーション常田富士男

大ケヤキの精が遊行上人のお札をもらって来る

昔、越後の国、南鐙坂(みなみあぶさか)の村外れに、百姓のおっとうとミヨと言う名の一人娘が住んでいた。

昔この場所には東光寺という寺が建っていたそうだが、今では廃れてしまい、ご神木の大きなケヤキの木だけを残すのみだった。そして信心深いミヨは、毎朝この家の前にある大ケヤキにお祈りしていた。

そんなある日、おっとうは、明日近くの十日町へミヨを連れて行くと言う。それは十日町の来迎寺に、遊行上人(ゆぎょうしょうにん)という偉いお坊さんが訪れるので、二人で上人の書いたお札をもらいに行くためだった。

十日町へ行くのを楽しみにしていたミヨだったが、いざ翌朝になってみると、おっとうが急に熱を出して床から起き上がれなくなってしまった。遊行上人は徳の高いお坊さんで、上人が書いたお札は難しい病気も直すと聞く。お札が欲しいのはやまやまだったが、このままおっとうをおいて十日町へは行けない。ミヨは苦しい胸の内を大ケヤキの前で話した。

するとどうしたことか、ミヨがおっとうのために沢の水を汲みに行った一時の間に、大ケヤキは忽然と家の前から姿を消していたのだ。

そして、ミヨの家の前から大ケヤキが消えたちょうどその時、城之古(たてのこし)の渡し場に不思議な婆さまが現れた。船頭はこの婆さまを乗せて向こう岸に渡そうとするが、婆さま一人しか乗っていないのに、舟はまるで岩でも載せたように重い。船頭はやっとの思いで舟を十日町の方へと渡した。この婆さま、すぐに遊行上人のお札をもらって帰って来たが、帰りに渡す時もやはり岩のように重い。

一方、ミヨの家ではそれからしばらくすると、なんと消えた大ケヤキがまた元通り立っている。そしてそれと同時に、おっとうの病気も嘘のように治ってしまった。家の戸口には、誰が持ってきたのか遊行上人のお札が貼られている。

ミヨは言う。「わかった!このお札はケヤキさまが頂いて来たんだ。」

この大ケヤキは、それからもおっとうとミヨの生活を見守り続けたということだ。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2012-7-3 11:05)


地図:新潟県十日町市南鐙坂1490-1 東光寺

※このページは印刷用の画面です。情報の掲載されているページは、こちらです。(本文に戻る)