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一目千両(ひとめせんりょう)

放送回No.0613(0384-A)
放送日1983年03月19日(昭和58年03月19日)
出典愛媛県
クレジット演出:芝山努 文芸:沖島勲 美術:門野真理子 作画:石井文子・後藤真砂子
ナレーション常田富士男

チラッと見るだけで千両かかる美女の話

昔、京の都に「一目千両」というものができたと、ずっと離れた四国に住む男は知った。一目見るだけで1000両の価値があるもとは、どんなものか?皆、知りたくて仕方なかった。

村でも評判の親孝行な男は、どうしてもその「一目千両」を見たいと思い、一年間一生懸命働いた。やっと貯まった千両と父親の遺産の千両の、合計二千両を携え、さっそく京の都の「一目千両」のお店へ出かけた。

男は働いて貯めた千両を支払い、屋敷の奥へ通され、期待に胸を膨らませた男の目の前の障子がするりと開いた。中の部屋には絶世の京美人が座っていて、優しく男にほほ笑んだ。

一目千両の女に見とれていたほんの数秒後、番頭の掛け声とともに障子は閉じられた。どうしても男はもう一度見たくなり、父親の遺産の千両を支払い、もう一度だけ障子をあけてもらった。すると一目千両の女は、「二度も見てくれた人はあなたが初めてです。どうぞ私の婿になって下さい」と男に言った。男は腰を抜かすほど驚いたが、そのまま一目千両の婿になり、京都で幸せに暮らし始めた。

三年たったある日、田舎に残してきた母親の様子を見に行くことになり、男は一目千両の絵姿を持ち故郷へ旅立った。その絵の女はまるで一目千両の生き写しで、紙の中から何やらシャンシャンと音が聞こえる不思議な絵だった。

道中、妻が恋しくなり絵姿を眺めていたが、その背後から大勢の人がその絵姿を覗き見していた事に気が付かなかった。あくる日、男は三年ぶりに家に帰りついたが、一年前に母親は亡くなっていた。

男は力なく、また京の都の一目千両の元へ帰ったが、なんと一目千両も三日前に死んでいた。一目千両の墓前で男が泣いていると、一目千両の声が聞こえた。

「あれだけ誰にも見せてはいけないと言ったのに・・・。あの絵姿を他人に見られたから死んだのです。私はあなたを恨みます。また私に会いたいなら一目千両どす」

(紅子 2011-8-15 17:34)


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