放送回 | No.0061(0036-A) |
放送日 | 1976年06月12日(昭和51年06月12日) |
出典 | (表記なし) |
クレジット | 演出:杉田実 文芸:沖島勲 美術:まるふしろう 作画:高橋信也 |
ナレーション | 市原悦子 |
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昔、森の中に小さな村と古い沼があった。その古い沼には一匹の河童が住んでいて、村人たちに悪さばかりしていた。
ある日、旅のお坊さんが河童の住む沼に訪れて、なぜ悪さをするのか聞いてみた。河童は、自分がこの姿で生まれてきたことを憂いて暴れまわっている、と答えた。それを聞いたお坊さんは、生きているうちに人の役に立つ事をするのだ、と諭して去って行った。
さて、その年の夏の事。村では何日も日照りが続き、村人たちの雨乞いもいっこうに効果がなかった。そこへ、何を思ったのかあの河童が現れて、自分にも雨乞いをさせてくれ、と頼んだ。村人たちはワラをもすがる思いで、河童にも雨乞いをさせた。河童の雨乞いは何日も何日も続き、その間、水も飲まなければ食べ物も食べなかった。
数日後のある日、空にゴロゴロと雷鳴がとどろき、大粒の雨がポツポツと降ってきた。雨はみるみる激しさを増し、やがて滝のように降り始めた。しかしその時の河童はもう、雨に打たれながら死んでいた。
夏も終わり、旅のお坊さんがまた村を訪れ、河童の雨乞いの話を聞いた。お坊さんから、人間になりたかった河童の話を聞いた村人たちは、沼のそばに小さな河童のお墓を立てて、後々まで語り伝えた。
(紅子 2011-8-25 17:13)