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飯が仕事をしてくれる(めしがしごとをしてくれる)

放送回No.0577(0361-B)
放送日1982年10月02日(昭和57年10月02日)
出典山梨県
クレジット演出:フクハラ・ヒロカズ 文芸:沖島勲 美術:小出英男 作画:フクハラ・ヒロカズ
ナレーション市原悦子

あらすじ

昔、山梨の八坂(はっさか)という所に、八左衛門というとても力持ちで大飯食らいの男がいた。そんな八左衛門であったが、気持ちはいたってやさしく、力仕事があればいつも快く引き受けていたので、村の者からたいそう慕われていた。

そんな八左衛門の評判を聞いた名主(なぬし)さま、是非とも八左衛門にうちの畑で働いてもらいたいと、飯は食い放題、手当も十人前という破格の待遇で雇うことにした。

力持ちの八左衛門が野良仕事をすれば、畑の一枚などあっという間に耕してしまう。その働きぶりは、一五人前、いや二十人前はあるだろうか。これには名主さまもたいそう喜んだ。ところが、名主さまの女将さんだけは、八左衛門を快く思っていなかった。ケチな女将さんは、八左衛門の大飯食らいが我慢ならなかったのだ。

そんなある日、女将さんは八左衛門の大飯ぐらいを揶揄(やゆ)してこんな事を言った。「あの八左衛門が仕事をするんじゃなくて、飯が仕事をするんです!」これを聞いた下女が八左衛門にこの事を伝えると、八左衛門は驚いて言った。「え~、奥様がそんな事を!?でも、そうかもしれんなぁ。“飯が仕事をしてくれる”こりゃあ面白い。ワッハッハ!!」八左衛門は豪快に笑う。

さて次の日、八左衛門は一人で一番広い畑を耕していた。ちょうど昼ごろには畑も半分ほど耕し、残りは昼飯を食べてからにするかと、大きな弁当を開けようとした時だった。何を思ったのか、八左衛門は弁当をその場に置いて家に帰ってしまったのだ。

「畑を半分しか耕してないのになぜ帰って来た?」と聞く女将さんに、八左衛門はこう答える。「あとの半分は飯にやってもらおうと思って、弁当を畑に置いてきただ。今頃は、飯が畑を耕しているだよ~。」

もちろん飯が仕事などするはずもない。驚いた女将さんが畑へ行くと、そこには鍬(くわ)にくくりつけられた八左衛門の弁当があるだけだった。これに懲りた女将さん、二度とこんな馬鹿な冗談を言わなくなったそうだ。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2012-12-14 20:07)


地図:南巨摩郡身延町八坂(地図は適当)

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