情報の掲載されているページはこちらです。(本文に戻る)byまんが日本昔ばなし〜データベース〜[印刷用画面]

首ひねり(くびひねり)

放送回No.0546(0341-B)
放送日1982年05月15日(昭和57年05月15日)
出典熊本県
クレジット演出:泉真一 文芸:沖島勲 美術:青木稔 作画:関口まゆみ
ナレーション市原悦子

あらすじ

昔、熊本県の菊池に「地獄」と呼ばれる所がありました。

たまたまこの近くを通りかかった行商の男が、一晩の宿をもとめて一軒の民家に立ち寄りました。民家の夫婦は男を快く迎え入れ、宿屋にしては汚れた薄気味の悪い部屋に通してくれました。しばらくして、旅の疲れからぐっすり寝込んでいた男の耳に、隣の部屋から夫婦の話し声が聞こえてきました。

「今晩は手打ちにしようか、半殺しにしようか…」と、相談している声でした。男は「きっとここは強盗の家だったんだ」と思い、スキをみて逃げ出そうとしましたが、四方を壁に囲まれた部屋からは逃げられませんでした。男は恐怖で身震いしながら、夕食に出されたぼた餅の味も分からないまま平らげて、夫婦の機嫌を損ねないように振舞いました。

しかし、夜になっても部屋の前には夫婦がいたため、なかなか逃げるチャンスがありませんでした。しばらくすると、亭主が「お前は地獄で待っていろ、俺が首をひねるから」と嫁に言っている声が聞こえてきました。男はあまりの恐ろしさに、民家から一目散に逃げ出しました。

男は町の奉行所にかけ込み、これまでの事を話しました。それを聞いた役人は、笑いながら「手打ちとは手打ちうどんの事で、半殺しというのはぼた餅の事だよ。それに地獄というのは湧水があった場所の事で、首をひねるというのはミノの襟をワラで縒る(よる)という事だよ」と説明してくれました。

男は夫婦の元に戻り、自分の勘違いを詫びました。それからの男は、まずその土地の言葉をよく理解してから話すようにしたそうです。

(紅子 2012-6-29 1:15)


地図:昔、地獄と言われたエリア(地図は適当)

※このページは印刷用の画面です。情報の掲載されているページは、こちらです。(本文に戻る)