No.0053
きつねにょうぼう
きつね女房
高ヒット
放送回:0030-B  放送日:1976年05月01日(昭和51年05月01日)
演出:杉田実  文芸:沖島勲  美術:稲場富恵  作画:高橋信也
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あらすじ

ある山里に成信という若者が一人で住んでいた。

ある年の夏、成信が田んぼで仕事をしていると一人の娘が通りかかり、倒れ込んでしまった。
成信は家に連れて娘を介抱した。2、3日経つと娘はすっかり具合が良くなり、成信の身の回りを世話するようになった。成信が娘の素性を訪ねると、「ここにおいて欲しい」と言う。

こうして娘は成信と暮らし、よく働いた。その秋、二人は夫婦になり、男の赤ちゃんが産まれ、もりめと名付けた。しかし、もりめが重い病気にかかってしまい成信はつきっきりで看病をした。その甲斐あって、もりめは元気になったが、ほったらかしにしていた田んぼは荒れ放題になっていた。

成信はなんとか田んぼを耕したものの、明日1日で田植えをしなければならないと娘に話した。翌日、成信が田んぼに出かけると、田んぼに全部苗が埋まっていた。しかしそれはすべて逆さまに植わっていたのだ。そのこと娘に言うと、娘は田んぼへと走りだし、いつしか白い狐の姿になって走っていた。

そして「世の中よかれ、我が子にくわしょ。検見を逃がしょ、つと穂で稔れ」と歌うと、逆さに植わっていた苗がみなひっくり返った。しかし娘は狐であることを成信に知られたので、山へ帰らなければならなかった。成信は追いかけるが、娘は狐の姿になって消えていってしまった。

その年の秋、検見の役人がやってきたが、成信の田んぼだけは稲が実らず、成信は年貢を納めないで良いことになった。役人が帰ったあとに、稲の穂がどんどん実り、成信はいつまでも田んぼを眺めていた。

(稿: 蔵人 本掲載日2012-8-14 5:50 )


ナレーション市原悦子
出典(表記なし)
DVD情報DVD-BOX第2集(DVD第8巻)
VHS情報VHS-BOX第5集(VHS第47巻)
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追加情報
本の情報サラ文庫まんが日本昔ばなし第20巻-第099話(発刊日:1977年10月20日)/童音社BOX絵本_第33巻(発刊日不明:1970~1980年頃)/国際情報社BOX絵本パート1-第021巻(発刊日:1980年かも)/講談社テレビ名作えほん第024巻(発刊日:1978年3月)
サラ文庫の絵本より絵本巻頭の解説によると「愛知県の昔ばなし」
童音社の絵本より絵本巻頭の解説(民話研究家 萩坂昇)によると「関西地方の昔ばなし」
講談社の300より書籍には地名の明記はない
レコードの解説よりLPレコードの解説によると「愛知地方の昔ばなし」
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※掲載情報は 2012/8/14 5:50 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
8件表示 (全8件)
ゲスト  投稿日時 2022/2/1 16:18
成信、娘ともりめという男の赤ん坊の看病をしてくれてありがとう。
ゲスト  投稿日時 2021/5/9 9:10
今日放送されていましたが、結末が少し変わったのかも。
成信ともりめが女房を探しに回るが見つからず、途方に暮れて家に帰るとなにやら良い匂いが。
家には誰もいないはず。でもこの良い匂いはよく覚えてる。家に入ると人間の姿の女房が。

結局、村の人達にキツネだとバレてしまうが、キツネ女房は昼はキツネの姿で山に帰り、夜になると人間の姿で家族と共に過ごすという生き方にし、それからは家族末永く暮らしたようです。
キツネ女房を家族と共にさせたいというのと、キツネであるという枷の部分を上手く落とし所を作った感じです。
家族三人が川の字に寝ているシーンはとても心暖まりました。
Perenna  投稿日時 2020/11/21 0:24
この昔話の出典は、角川書店の「動物の世界・日本の民話1」らしいですね。
「きつね女房の田植え」という題名です。
「三河一宮の村里に、気の優しいひとり者の百姓がいた。男の名を成信(なりのぶ)といった。貧しかったので嫁に来てくれる娘もいなかった。」という書き出しで始まっています。
この本には、赤ん坊を抱いた男性のイラストも描かれていますが、アニメの成信とそっくりです!
また、昭和12年に出版された「愛知県伝説集」には、「人に化けた狐」(宝飯郡)という題名で同じ昔話が収録されています。(コマ番号150/207)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1461596

「一宮の西原から成信の橋を渡って、梵地ヶ池の辺を通り、城戸に行く途中の小丘に成信といふ百姓が住んでいた。」と書かれています。

「宝飯郡、梵地ヶ池」で検索してみると、以下のブログ記事を見つけました。
https://blog.goo.ne.jp/kourei-flow/e/a409f300234e61a288581d2c7e8811d5

梵地ヶ池は、「愛知県宝飯郡一宮町大木字山ノ奥」に実在する池だと書かれています。
現在の地名では、愛知県豊川市大木町山ノ奥となっています。
おそらく、成信一家が住んでいた山里は、現在では陸上自衛隊日吉原演習場となっている場所なのではないかと思われます。
Perenna  投稿日時 2020/8/21 22:31
この昔話と同じ話が未来社の「三河の民話」に収録されています。
「成信(しげのぶ)の女房」(宝飯郡)という題名です。
生まれた男の子の名前は「森目」ですし、狐の女房が歌った歌は「世の中よかれ、わが子に食わしょ。検見を逃がしょ、苞穂で実れ」と書かれています。
ただ、未来社の本は1978年4月10日が初版ですので、このアニメの放映日よりも2年後となっています。
出典については、もう少し詳しく調べてみたほうがいいかもしれませんね。
ゲスト  投稿日時 2018/11/7 0:29
すごい好きなお話です。もりめかわいい
ゲスト  投稿日時 2017/1/31 21:22
狐が化けた女性でも妊娠するんですね…驚きです。
ゲスト  投稿日時 2016/2/16 15:35
とても美しいお嫁さんで印象的です
最後の人間から白い狐の姿に戻っていくところで薄紫のつた?が体に巻き付いていて幻想的
田んぼが実らなかったのも、成信のために魔法をかけていたからなんてどこまでも出来たお嫁さんです
銀次  投稿日時 2015/11/23 20:43
粋で悲しいお話ですね。
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