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狸のしょう油造り(たぬきのしょうゆづくり)

放送回No.0525(0329-A)
放送日1982年02月20日(昭和57年02月20日)
出典奈良県
クレジット演出:フクハラ・ヒロカズ 文芸:境のぶひろ 美術:小関俊之 作画:フクハラ・ヒロカズ
ナレーション市原悦子

子煩悩な男と、情に厚いタヌキの話

昔、奈良の近くに、醤油造りの蔵人(くらんど)の源ちゃんという男がいました。源ちゃんの家は子沢山で、さらにもうすぐ赤ちゃんが生まれそうでした。

源ちゃんが働く蔵には、家ほどの大きさの醤油樽がたくさん並んでいました。醤油は、この樽の中でもろみを発酵させて作るのですが、もろみから出る泡を抜くためにかき混ぜないといけません。この作業は「かい入れ」といって、もろみがまだ固い時などは一日でぐったりするほど大変な重労働でした。

ある日、かい入れをしていた源ちゃんが、樽との隙間に狸が赤ちゃんを産んでいる事に気が付きました。子煩悩な源ちゃんは、狸の母親に「乳の出が良くなるように」と、自分のご飯から栄養の高そうな食べ物を分けてあげていました。

やがて、源ちゃんの奥さんが産気づき、かい入れを途中でやめて急いで家に帰りました。その間も泡は出続けるので、残った蔵人たちで一生懸命にかき混ぜるのですが、力持ちの源ちゃんが抜けた事で仕事がはかどりませんでした。

夜中を過ぎた頃、ぐったりと倒れ込んだ蔵人たちが寝ている間に、父親狸が仲間を集めて皆でかい入れを始めました。狸のかい入れは朝まで続き、おかげでもろみを腐らせずにすみました。この話を聞いた源ちゃんは、なんと情けのある狸たちだろうと、涙を流して感謝しました。この年の醤油は一段と上出来でした。

(紅子 2012-1-16 23:44)


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