放送回 | No.0052(0030-A) |
放送日 | 1976年05月01日(昭和51年05月01日) |
出典 | (表記なし) |
クレジット | 演出:馬郡美保子 文芸:沖島勲 美術:馬郡美保子 作画:福田皖 |
ナレーション | 常田富士男 |
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ある大川のほとりに住む渡し守の船頭が、前日の大雨で流れた木を拾おうとすると、座頭の水死体が流れてきた。船頭は畑の中に丁寧に埋葬してやると、そこから大きな木が生え、見物客が集まるほどだったやがてその木につぼみがなり、花がさくと、その色や香りを楽しむ人々がやってくるようになる。
ある日、村の子どもが花の中に座頭が座っているのを見つける。その花を一度は見ておこうとさらに見物客が集まる。おかげで船頭は大忙しだった。
その花が風になびき、一輪、また一輪と川へ落ちていく。すると、座頭が一斉に笛や太鼓や三味線などを弾き始め、そのにぎやかな様子を見ようとさらに見物客が集まるようになり、船頭はたいそうお金を儲けることができた。
やがて花もあらかた散ると、座頭の木の下は子供たちの遊び場となった。ある子どもが、座頭の木に手まりがなっているのを見つける。よく見ると、着物や独楽、凧など、子ども達の欲しがる物がたくさん木に実っていた。子どもが欲しがる物を言うと、木がそれを落としてくれる。
やがて雪が舞いはじめ、北風が強くなってきた。正月も近い頃の話だった。
(稿: 蔵人 本掲載日2012-8-14 5:50 )