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No.0493
しろぎつねのおおしばい
白狐の大芝居
高ヒット
放送回:0309-B  放送日:1981年10月03日(昭和56年10月03日)
演出:芝山努  文芸:沖島勲  美術:門野真理子  作画:芝山努
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お常ばあさんが、夜の峠で狐たちの芝居を見る話

九州、大分県の長岩屋というところに、お常という人の良いお婆さんが住んでいました。ある日、お常さんは、峠を一つ越えた真玉(またま)の浜へ出かけての帰り道、白丸峠にさしかかった時の事。どこからか祭り太鼓の音が聞こえてきて、提灯を持った人々の行列と出くわしました。

なんでも峠の芝居小屋に芝居を見に行くという事で、お祭りや芝居が好きなお常ばあさんは一幕だけ見ていこうと小屋に入りました。芝居小屋の中では、田舎芝居とは思えぬほどの名演技で、お常ばあさんはすっかり見入ってしまいました。見物中、美味しいいなりずしやぼたもちやらをすすめられ、最後の演目「葛の葉」を涙を流しながら鑑賞しました。芝居が終わって外へ出ると、もう夜は白々と明けはじめ、お常ばあさんは足早に長岩屋の家に帰りました。

ところが、この話を聞いた嫁は、それは狐の仕業に違いないと言い張りました。見事な芝居は「白嬢」という狐の仕業、いなりずしは馬糞、ぼたもちは牛の糞、だと言うのです。白嬢はこの地方で有名な狐で、上真玉(かみまたま)の白丸の白嬢、真玉の赤坂の赤嬢、草地猫石の猫嬢。この狐たちを人々は「三嬢(さんじょう)」と呼んでいました。

嫁の話を信じられないお常ばあさんは、その晩もう一度白丸峠へ出かけていきました。するとそこには芝居小屋など無く、行列の提灯はきつね火で、芝居をしているのはなんと白狐でした。しかし、狐の演じる芝居はやっぱり名演技で、そのうちお常ばあさんはまたまたすっかり見入ってしまいました。

狐たちは別に人を騙すつもりもないので、馬糞や牛糞を食わせたわけでもなく、三嬢の狐たちが集まって気ままに芝居を楽しんでいたのでしょう。どうりで狐の出てくる「葛の葉」の芝居を演じていたわけですね。

(紅子 2012-2-14 3:35)


ナレーション市原悦子
出典大分県
備考びゃっこと読む場合も。
DVD情報DVD-BOX第11集(DVD第54巻)
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追加情報
本の情報国際情報社BOX絵本パート2-第115巻(発刊日:1980年かも)
講談社の300より書籍によると「大分県のお話」
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※掲載情報は 2012/2/14 3:35 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
7件表示 (全7件)
ゴンザ  投稿日時 2020/6/11 6:53
perenna様
「猫の芝居」は、まんが日本昔ばなしでも1977年に放送されています。内容はほぼ同じです。ただ、出典は「大分の民話 第一集」ではないと思います。
Perenna  投稿日時 2020/6/11 1:32
この昔話と似たような話が、未来社の「大分の民話・第一集」に収録されています。
「猫の芝居」という題で、豊後高田市に伝わる話らしいです。
「むかし、草地村の古城という山の中の部落に、小さいお寺がありました。そこの和尚さんが、法要に行って夜遅く山路を歩いて帰ってきますと、お稲荷さんの小さい祠の中で、何やら騒がしい声がするのです。」という書き出しで始まっています。
和尚さんがのぞいてみると、猫たちが忠臣蔵の芝居を演じていました。
舞台では、判官に扮した猫が切腹するところを演じていました。
ところが、この場に駆けつけるはずの由良之助がなかなか登場しないので、見物していた猫たちが騒いでいたのです。
ようやく登場した由良之助を演じていた白猫は、なんと和尚さんが飼っていたタマというオス猫でした。
寺に帰った和尚さんが翌朝、タマの頭をなでながら「ゆうべの由良之助はみごとだったぞ」とほめますと、タマは恥ずかしそうに首をうなだれていましたが、その後どこへともなく姿を消してしまったということです。

豊後高田市には長岩屋とか真玉という地名があり、草地古城の東に位置しています。
地理的にも近いですし、話もなんとなく似ているので、「白狐の芝居」と「猫の芝居」とはなんらかの関係があるのではないでしょうか?
ゲスト  投稿日時 2019/1/14 11:12
芸能に造詣が深い狐たちが実に愛おしいです。
そして、お芝居を観ることが出来たお婆さんが羨ましい…!!
ゲスト  投稿日時 2017/6/11 11:01
お婆さんの周りにいる大勢の女の人の顔が怖い。
ヤヘキツネ  投稿日時 2012/12/24 0:06
なんだか心がほっと温まるお話でした。
狐は化かすだけが能じゃない。
人間も、狐も関係なく、芸術を愛する心を持っているのだと感じる作品でした。
このお話大好きです。
のんの  投稿日時 2012/9/17 17:50
赤嬢と猫嬢が演じて、白嬢が大夫主(たいもと)をやっていたのでしょう。と締めくくられていますね。
大夫主(たいもと)とは芝居劇団の総責任者の事で、座長よりも上だそうです。
三匹とも「嬢」が付いているという事は「雌狐」なのでしょうね。
マルコビッチ  投稿日時 2011/10/21 16:17
おつね婆さんという人が夜の峠で狐たちの歌舞伎を見る・・・という話だったような・・・。
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