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おしろい花の谷(おしろいばなのたに)

放送回No.0473(0296-B)
放送日1981年07月04日(昭和56年07月04日)
出典辻田三樹恵(晴文社刊)より
クレジット演出:前田康成 文芸:久貴千賀子 美術:門屋達郎 作画:前田康成
ナレーション市原悦子

あらすじ

ある山村に貧しい婆に育てられた美しい娘「かえ」がいました。19歳の時、婆に先立たれとうとう一人になってしまいましたが、かえを以前から恋しく思っていた作三という青年が、これを機会に嫁になってくれぬかと、毎日かえを口説きました。

かえはお高くとまっているわけではないのですが、作三の言葉を受け入れる気は無いようでした。作三は「よし、おれも男だ。夜中に眠っているかえを布団ごとさらって来よう」と決心して、夜が更けるのを待ちました。やがて東の空が白み始めた頃、かえの家の戸がそっと開き、中から旅支度をしたかえが出てきました。

かえは、まだ暗い中をスタスタと歩き続け、やがて作三の知らない所へきました。こっそり後を付けていた作三は、少し気味悪く思いましたが、それでもかえの後を付けていきました。やがて、巨大な岩の割れ目に吸い込まれるように入っていったかえを見つけようと、作三も割れ目に頭を突っ込みました。

割れ目の先は、まるで昼間のように明るく、紅と白のおしろい花が咲き乱れる広い野原がありました。広場には、かえと全く同じ顔をした若い娘達が、舞うように動き回っていました。すると、すごい風が吹いて花が舞い上がり、恐ろしい顔をした鬼女が出てきました。

なんと、かえの父親は風で、母親は鬼女だったのです。作三はそれでもいいから嫁にしたいと、大きな声で叫びました。「おおい、かえさーん」こう叫んだ瞬間、目もくらむ大音響で岩が崩れ始めると、作三は気を失ってしまいました。

どれだけの時間がたったのでしょうか。気が付くと作三は見慣れた畑のそばで、かえの膝枕で寝ていました。「目が覚めましたか?そろそろ家に帰りましょう」まるで、かえと作三はもう何年も前から夫婦だったように、肩を並べて歩きました。うららかな良い日和で、おしろい花が咲いていました。

(紅子 2012-5-26 1:28)


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