放送回 | No.0464(0291-A) |
放送日 | 1981年05月30日(昭和56年05月30日) |
出典 | 岐阜県岐阜市 |
クレジット | 演出:三善和彦 文芸:沖島勲 美術:田中静恵 作画:三善和彦 |
ナレーション | 市原悦子 |
昔、岐阜のずっと外れに、天候にも恵まれ平和に暮らす小さな村がありました。ある時、村人たちはそのうち何か悪い事が起こったりしないようにと、村の入り口に観音堂を建てました。
村に住む平六(へいろく)という男が、朝早くに観音堂にお参りに出かけると、なんと大きな大きな石がでーんと置かれていました。これは一体どうしたことかと、村人たち十人がかりで動かそうとするも、どうしても石は動きませんでした。
その晩、平六の息子が急な病で寝込んでしまいました。平六は観音様に「息子の病を治してください」とお願いして、たまたま石にもたれかかると、石がゆらりと揺れ動きました。驚きながら家に帰った平六でしたが、息子はすっかり元気になっていました。
この話を聞いた村人たちは「願いが叶う時は軽くなる石だろう」と考えて、かわるがわる願い事をしては石に手をかけてみました。すると、持ち上がる人もいたり持ち上がらない人もいたので、ますます感心して大騒ぎになりました。
そこへ、一人の豪傑そうな大男が通りかかり「これくらいの石ならワシが持ち上げてやるわい」と言って、石に手をかけました。しかし、どんなに力を入れても石はびくとも動かず、村人たちは「心がけの悪い人はいくらやってもダメじゃのお」と大笑いしました。かんかんに怒った大男は、石を蹴っ飛ばし小便をかけました。すると、石は燃えだして男の尻に燃え移ったもんだから、慌てた大男は一目散に村から逃げていきました。
人々はこの不思議な石を「おもかる石」と呼び、それからもいろいろな事を占いました。おもかる石は、心がけの悪い人は決して持ち上げられなかったそうです。
(紅子 2012-1-25 0:14)