昔、あるところに、村人たち全員が美しい顔立ちという不思議な村があった。しかしこの村にも、たった一人だけ「庄作」という不細工な男がいた。
庄作は顔立ちは悪かったが、根っからの正直者で働き者だった。村人達は、不細工でバカ正直な庄作を見下し、庄作に難癖を言いタダ働きをさせたり魚を横取りしたりした。だが庄作は嫌な顔せず、いつもニコニコと暮らしていた。
そんな庄作も、胸が痛くなるほど寂しくなる事があった。一人ぼっちの自分の所に、嫁が来てくれればどんなに良いか・・・と思った庄作は、村のお地蔵さんにお願いした。
すると、突然、お地蔵さんの背後から狐が現れた。狐が手に持った桜の枝を振ると、あっという間にその場が庄作の結婚式の会場となった。驚く庄作の横には、大切に思ってくれるキレイな嫁さんが座っていた。突然の事に驚きながらも、庄作は産まれて初めてとても温かい気持ちに包まれた。
翌朝、村人達はお地蔵さんの横で笑顔で眠る庄作を見つけた。村人達は、きっと狐に騙されているのだろうと、ますます庄作を馬鹿にするようになった。だが庄作は、これまで以上にニコニコと、ますます一生懸命に働き通したという。
(紅子 2011-8-13 21:22)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 山口県岩国市 |
DVD情報 | DVD-BOX第3集(DVD第13巻) |
本の情報 | 講談社テレビ名作えほん第073巻(発刊日:1987年3月) |
講談社の300より | 書籍によると「山口県のお話」 |
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