昔、博多の聖福寺(しょうふくじ)に仙厓(せんがい)という和尚さんがいました。絵や書道が上手な和尚さんで、いつも多くの人が何か書いてもらおうと寺に訪れていました。
ある日、若い植木職人の木兵衛(もくべえ)は、仙厓和尚の書いた絵を飾れば和尚さんの徳にあやかれる、と聞き付けました。ならば自分も絵を書いてもらって、和尚さんの徳にあやかり楽してチヤホヤされたい!と考えました。
木兵衛はさっそく和尚さんの好物の山イモを用意しようと、一日かかって山イモを9本掘りお寺へ向かいました。しかし、何だか自分だけ一日中働いて損している気になった木兵衛は、山イモを減らし3本だけを和尚さんに差し出しました。
仙厓和尚はそんな木兵衛の気持ちに気が付き、自分がこれまでの60年間ずっと筆の勉強をしてきた事を、書き損じた紙を見せて説明しました。大量の紙を見た木兵衛は、自分が恥ずかしくなり隠していた残りの山イモを全部差し出しました。
それからの木兵衛は、骨惜しみすることなく仕事に励み、腕の良い植木職人になったそうです。
(紅子 2011-8-31 6:06)
ナレーション | 市原悦子 |
出典 | 太宰府の伝説より |
DVD情報 | DVD-BOX第4集(DVD第20巻) |
現地・関連 | お話に関する現地関連情報はこちら |
場所について | 聖福寺(日本初の禅寺) |
本の情報 | 国際情報社BOX絵本パート2-第083巻(発刊日:1980年かも)/講談社テレビ名作えほん第099巻(発刊日:1988年4月) |
講談社の300より | 書籍によると「福岡県のお話」 |
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