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にわとりのお告げ(にわとりのおつげ)

放送回No.0431(正月特番)
放送日1981年01月02日(昭和56年01月02日)
出典山口県岩国市
クレジット演出:前田康成 文芸:沖島勲 美術:久保陽彦 作画:前田康成
ナレーション常田富士男

あらすじ

昔、庭の鳥小屋でたくさんの鶏とひよこを飼っている、貞蔵(さだぞう)さんという人がいた。

みんなが寝静まったある夜、一羽の鶏が突然けたたましく鳴き出した。驚いて起きた貞蔵さんは、真っ青になった。というのも、このあたりでは、夜、時ならぬ時刻に鶏が鳴くと、良くないことが起こると信じられていたからだ。そして、夜鳴きした鶏は川へ流してしまうというならわしがあった。

「可哀そうに、何も悪さはしていないのに・・・」貞蔵さんは仕方なく、鶏を藁袋につめ、顔だけ出して、川へと流すと、後も見ないで走って家へと戻った。流された鶏は、牛野谷の水越しに引っかかってしまい、そのまませき止められ、一夜を明かした。

ところで、その牛野谷の水越しから少し離れたところに、虎吉(とらきち)さんという人が住んでいた。虎吉さんは不思議な夢をみていた。トントントン・・・。誰かが戸を叩くので出てみると、一羽の鶏がそこにいて、虎吉さんにこんなことを言った。「私は土手町に住む貞蔵さんの手飼いの鶏じゃ。主人の家では、先祖の位牌が一枚鶏小屋の上に転がっている。このままではばちが当たって、家は滅びてしまう。どうか私を連れて行って、主人にそう伝えてくださいませえ。私は今、牛野谷の水越しに引っかかっていて、どうすることもできません。どうか手を貸して下さい。」そういうと、鶏は空高く飛んで行った。

「に、にわとりがしゃべった~!」虎吉さんは飛び起きた。「不思議な夢をみたもんじゃなあ」さっそく虎吉さんが牛野谷の水越しに行ってみると、本当に藁袋から顔を出した鶏が引っかかっていた。虎吉さんは鶏を助け、貞蔵さんの家を訪ね、昨夜の夢の話をした。

貞蔵さんが鶏小屋の上を調べると、不思議なことに、ご先祖の位牌が一枚、ほこりまみれで転がっていたのだ。「なんと不思議なことよのぅ」貞蔵さんの家では、先祖の位牌を集めて、お盆や正月におまつりしていたのだが、その中の一枚を、ネズミが鶏小屋の上へ運んだのだろう。「これで家が滅びずに済みましたよ」貞蔵さんは虎吉さんに沢山のお礼をした。それからは貞蔵さんの家では、お告げをしたあの鶏をとても大事にしたそうだ。

(投稿者: 十畳 投稿日時 2011-8-4 8:28 )


地図:鶏が引っかかったかもしれない「牛野谷」

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