放送回 | No.0425(0267-A) |
放送日 | 1980年12月13日(昭和55年12月13日) |
出典 | 静岡県下田市 |
クレジット | 演出:しもゆきこ 文芸:沖島勲 美術:しもゆきこ 作画:今村春美 |
ナレーション | 市原悦子 |
備考 | 伊豆七不思議の一つ |
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むかしむかしの大昔、伊豆の浜に河津という豊かな里があり、杉桙別命(すぎほこわけのみこと)という名のお酒の大好きな神様が治めておられた。心優しい命(みこと)は鳥たちの言葉をよく解され、小鳥たちから大変慕われた。
今日は東の海で魚の浪が立ったと小鳥たちから聞き、村人たちにこのことを伝える。村人たちが早速海へ漁に出ると、漁は大漁となった。また海が大荒れになりそうな日には、トンビがこれを命に知らせ、命はトンビを使いにやり海上の漁師たちに漁を中止する合図を送る。命の知らせが外れた試しは一度もなかった。そんな命にも一つだけ悪い癖があった。それはお酒に酔うと、所かまわず寝てしまうのだ。大漁の祝い酒を村の衆と飲めば、浜辺の波打ち際で寝てしまい、カモメたちに起こされるといった具合だった。
ところが、そんな豊かな河津の里を乗っ取って自分が里の主になろうとたくらんでいる大蛇がいた。大蛇はなんとか命を亡きものにしようとスキをうかがっていた。
そんなある日のこと、命は山を見回りに行こうと、大好きなお酒を持って出かけられた。山の上のススキの原で命は持ってきたお酒を飲み始め、気持ちが良くなった命はまた眠ってしまう。これを見ていた大蛇は、これ幸いとススキの原に火を放った。命が起きた時には、炎はススキの原に広がり、命は炎に取り巻かれていた。命が、もはやこれまでと覚悟を決めた時、突如空に鳥の大群が現れた。鳥たちは川の水を羽に含ませ、命の上で羽ばたき、雨のように水しずくを落とした。すると何千、何万という鳥たちが降らせる雨の前に、さすがの野火も消えてしまった。
命拾いした命はそれからお酒を断たれ、村人もこのことから鳥精進・酒精進(とりしょうじんさかしょうじん)といって12月18日から7日間、酒を断ち、鶏肉や卵の類を食べないようになったそうだ。
(投稿者: やっさん 投稿日時 2011-6-5 10:14 )
地図:賀茂郡河津町田中154 来宮神社 |