放送回 | No.0419(0263-A) |
放送日 | 1980年11月15日(昭和55年11月15日) |
出典 | 土屋北彦(未来社刊)より |
クレジット | 演出:やすみ哲夫 文芸:沖島勲 美術:あかばんてん 作画:岩崎治彦 |
ナレーション | 常田富士男 |
村でも評判の、意地っぱりの老夫婦がいた。
田んぼで仕事をしていても「雨が降る降らない」で意地を張り合い、家に帰れば「風呂が沸いた沸いてない」で意地を張り合う。いつも口げんかをしていたが、村人たちはそれを微笑ましく見ていた。
ある年の秋祭りの際、豊年万作の祝い餅が配られた。最後の一つを取り合いとなりどちらも譲らないため、先にしゃべった方が負けで、勝った方が最後の餅を食べるという事にした。
その時、家に泥棒が入り、おもわず「泥棒ー!」とじいさんが叫んでしまった。泥棒はあわてて逃げだしたが、村人たちに取り押さえられてしまった。泥棒は「あんな意地っぱりで、よくあれで夫婦でいられるもんだな」と不思議がったが、村人たちは「あれでこの村では一番の仲良し夫婦なんだ」と言いあった。
結局、最後の餅はばあさんのものとなり、その後も仲良く意地を張り合いながら暮らした。
(紅子 2011-6-21 1:42)