No.0398
さきちぶね
佐吉舟
高ヒット
放送回:0249-A  放送日:1980年08月09日(昭和55年08月09日)
演出:芝山努  文芸:沖島勲  美術:門野真理子  作画:須田裕美子
東京都 ) 107446hit
あらすじ

八丈島に太兵衛(たへえ)と佐吉(さきち)という二人の腕の良い漁師が住んでいた。佐吉は島でも一番の男前で、太兵衛は島一番の力持ちだった。二人は子供の頃から大の仲良しだった。

二人とも船主の娘、ヨネが好きになってしまった。勿論ヨネもこんな二人が好きだった。それを知った父親の船主が、こう言った「わしはどちらか稼ぎの多い方に嫁にやりたい」それからあれほど仲の良かった二人はまるで敵同士のようになり、魚の獲り合いを始めた。

ある波の静かな日、その日は太兵衛の方にはさっぱり魚が寄り付かず、なぜか佐吉の方だけに魚がどんどん食いついてた。佐吉の船底はみるみる魚で一杯になり、獲れるだけ獲って太兵衛を追い抜いてやろうと夢中になるうち、魚の重みと大波をかぶって佐吉の舟は沈んでしまった。

佐吉はお前の舟に乗せてくれと太兵衛に頼むと、ヨネを譲ってくれるなら乗せてやると言う。「それとこれとは話が別だ」と佐吉が断り、太兵衛の船のふちに手をかけると太兵衛は木の舵で力いっぱい佐吉を殴った。
「貴様がヨネをよこしさえすりゃぁ、こんな事には…」太兵衛は何度も佐吉を殴り、血まみれになった佐吉は海の中に沈んでいった。

村へ帰ると太兵衛は、自分のやった事のあまりの恐ろしさに家の中へ閉じこもり、ヨネのことなどすっかり頭になかった。外では佐吉が漁に出たままいなくなったと大騒ぎになっていた。

それから何日か経ったある日、太兵衛が魚を釣っていると遠くからゆっくりと船が近づいてきた。
「佐吉か・・生きていたのか!?」
現れたのは佐吉の亡霊だった。
佐吉は「・・・柄杓を貸してくれ」「柄杓を・・」と言う。

太兵衛が柄杓を差し出すと、佐吉は無言で海の水を太兵衛の船の中に汲み入れはじめた。太兵衛は佐吉に謝るが、佐吉は海水を入れ続け、太兵衛の船は沈んでしまった。溺れそうになった太兵衛は佐吉の船に近づき、乗せてくれと頼むが佐吉の船はスッと消えてしまう。太兵衛はしばらくは海に漂っていたが、そのまま大きな波にのまれて姿を消してしまった。

(投稿者: てぃっぴい 投稿日時 2012-6-7 16:09 )


ナレーション常田富士男
出典(表記なし)
DVD情報DVD-BOX第6集(DVD第29巻)
VHS情報VHS-BOX第6集(VHS第58巻)
場所について八丈島(地図は適当)
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地図:八丈島(地図は適当)
追加情報
本の情報二見書房[怪談シリーズ]第1巻_お化けがでたあ~(発刊日:1994年5月25日)
講談社の300より書籍には地名の明記はない
このお話の評価8.7778 8.78 (投票数 27) ⇒投票する
※掲載情報は 2012/6/7 21:31 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
10件表示 (全18件)
ゲスト  投稿日時 2022/2/4 20:41
太兵衛「く○ばれ…」
俺「放送禁止じゃねーか」
アーリアジャスール2世  投稿日時 2019/6/28 10:45
この作品は、芝山さんが本当に描きたがっていた「人間のドロドロした内面」を描ききっていると思います
ゲスト  投稿日時 2019/3/14 15:32
人が溺れそうなのに助けないで、そんな状況を利用し酷い提案をするなんて、
太兵衛は何という人だろう、、、、

「それとこれとは話が別だ」と言った佐吉が正しいと思います、心が良いと思います。ヨネがこの状況を知ったら佐吉の方が人間として上だと思ったでしょう。


ゲスト  投稿日時 2018/8/26 21:26
気味悪い話です。人間の怖さ、海を利用した怖さがあります。もし柄杓を貸さなかったり、柄杓の底を抜いて貸したりしたとしても、佐吉は太兵衛に何らかの仕返しをした気がします。
夾竹桃  投稿日時 2018/7/5 1:18
何が言いたかったかというと、
幽霊の仕返しが霞むほど、「人間怖い」と思いました。
夾竹桃  投稿日時 2018/7/5 1:09
日本の昔話(特に幽霊の話)は、
仕返しに至るまでが長いと思いませんか?

生前に酷い目にあわされる。殺される。苦しみから自殺

何食わぬ顔で相手に近づき仕返し。
仲間が仕返し。
幽霊になって呪い殺したり
第三者に助けてもらったりして、うらみを晴らす

だから怖くなるのは大体、話の後半だと思うんです。

太兵衛と佐吉の口論から佐吉が殺されるまでが、怖すぎますよ…
最初観た時は殴られて血まみれになった佐吉が怖かったけど、殴ってる太兵衛も怖いです。妙に生々しいというか、緊張感が…
化け猫  投稿日時 2017/9/30 20:26
人間の煩悩とはいかに奥深くて恐ろしいか…なんか後日談として、この二人は死んでもなお争ってるのじゃないかなあと思ってしまう。
だけど、二人の顔がタカアンドトシに似てて恐怖が半分になってしまった…www
ねこ  投稿日時 2017/7/21 1:03
子供の頃このお話何回も観てたなー
話の内容全部覚えてた訳じゃなくて、佐吉が殴られて血まみれになるシーンは凄く覚えてる!これを好んでDVDで観てたと今思うとちょっとヤバい子供だった(笑)
ゲスト  投稿日時 2017/4/4 8:44
これ柄杓の底を抜いて渡していたらどうなったんだろうね。
ゲスト  投稿日時 2016/12/9 23:26
飯降山(最後に製作されたアニメ)とセットで視た時ゾッとした。どちらも人間の恐ろしさがテーマだった。
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