ある所に権太(ごんた)という少しウスノロであったが、心根のやさしい若者がいた。両親は既に他界していて一人暮らし。近くに住む叔父さん(伯父さん)が飼育する牛の面倒を見ることで生計を立てていた。
ある日、権太は山へ行き野焼きをしていた。枯れ草を焼いて、新しい草が生えるのを助けるためだ。しかし火の中から、何やらもがき苦しむようなおかしな声が聞こえる。権太が見てみると、蛇の子が煙に巻かれて苦しんでいる。権太は慌てて、蛇の子を助けて野に放した。
次の日も、権太は牛を山に連れて行く。春の陽気はうららかで、牛が草を食んでいるうちに、権太はついウトウトと眠ってしまう。すると権太の夢に宇賀神(うかじん)と名乗る神様が現れ、権太に蛇の子を助けてくれたお礼を言い、願いを叶えてやると言う。権太は考え、動物たちの話していることが聞ければ、さぞ楽しいだろうと思い、動物の言葉が聞きたいと言う。そこで宇賀神は、動物の言葉を聞くことができる「青い聞き耳頭巾」を権太に渡す。
さて、権太が夢から覚めると、はたして本当に権太の頭には青い頭巾があった。試しに頭巾をかぶって牛の鳴き声を聞くと、牛は「水が飲みたい」と言っていた。小川で牛に水を飲ましていると、傍らの木の上で、カラスたちが鳴いている。聞き耳頭巾を使って聞いてみると、「人間ほど利口に見えて馬鹿な者はいない。いつもこの木の横を歩いているのに、この木の下に宝が埋まっているのを知らない」と言う。
権太がその木の下を掘ると、カラスたちの言っていた通り、大判小判が入った壷が2つも出てきた。権太はそのお金で一人立ちでき、さらに隣村からお嫁さんをもらうこともでき、以後幸せに暮らしたそうだ。
(投稿者: やっさん 投稿日時 2011-5-5 13:52 )
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | 浜口一夫(未来社刊)より |
出典詳細 | 佐渡の民話 第一集(日本の民話18),浜口一夫,未来社,1959年04月30日,原題「青いきき耳頭巾」,採録地「小木町宿根木」,話者「石塚キジ」 |
場所について | 小木町宿根木(現在の佐渡市宿根木、地図は適当) |
このお話の評価 | 8.50 (投票数 6) ⇒投票する |
⇒ 全スレッド一覧