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No.0384
たんぽこたん
タンポコタン
高ヒット
放送回:0240-A  放送日:1980年06月07日(昭和55年06月07日)
演出:高沢孫一  文芸:沖島勲  美術:小関俊之  作画:土橋博
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あらすじ

ある村に太郎兵衛(たろべえ)という怠け者の若者が住んでいた。

ある夜、太郎兵衛が囲炉裏端で寝ていると、どこからか風が吹き込み、囲炉裏の火を消してしまった。そして家の庭先から不気味な声がするのだ。その声は、「た~ろべえは、タンポコタン」と言い続ける。

太郎兵衛は立ち上がろうとするも、どういう訳か足が立たない。太郎兵衛は恐ろしくなり、布団の中にもぐり込み、朝までガタガタ震えていた。

翌朝、太郎兵衛は村一番の物知りと言われる林右衛門(りんえもん)の家に相談しに行った。林右衛門は、「それは魔性の者じゃ。若い者を数人集めて口争いをすればいい」と言う。相手が「た~ろべえは、タンポコタン」と言ってきたら、「そう言う者こそ、タンポコタン」と言い返せばいいと言う訳だ。

そこでその夜、太郎兵衛は村の腕っぷしの強い若者四人を家に呼んで、化け物が現れるのを待った。やがて夜も更けた頃、庭先から「た~ろべえは、タンポコタン」と声が聞こえてきた。太郎兵衛たちは1人ずつ交代して、「そう言う者こそ、タンポコタン」と言い返す。

何しろこちらは五人。こんなやり取りをしていると、相手の声はだんだん弱々しくなってきた。そしてついに、「ドサッ!」と何かが庭先で倒れる音がした。「今だっ!!」皆で外へ出てみると、声の主はたぬきだった。たぬきは息も絶え絶えになりながら、山へと逃げ帰っていく。

翌朝、この事を聞いた林右衛門は、「たぬきは人の魂を取って長生きするのじゃ。特にお前のような怠け者が大好きなんじゃよ。お前たちは魔性に勝ったのだから長生きする」と笑いながら言う。

この事があってから、太郎兵衛は心を入れ替え、真面目に働くようになったそうな。

(引用/まんが日本昔ばなし大辞典)


ナレーション市原悦子
出典土屋北彦(未来社刊)より
出典詳細大分の民話 第一集(日本の民話49),土屋北彦,未来社,1972年08月15日,原題「タンポコタン」,採録地「大野郡三重町」,話者「伏野武男」
場所について高寺集落(地図は適当)
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地図:高寺集落(地図は適当)
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※掲載情報は 2011/2/11 22:30 時点のものです。内容(あらすじ・地図情報・その他)が変更になる場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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コメント一覧
3件表示 (全3件)
愛善院  投稿日時 2016/8/23 23:50
十数年前、この語りを巡業でやったとき「たろべ~のタンタカタン」と言い続け、子どもたちにはウケが良かったのですが、大人の方々に不思議な顔をされました。いわく「それじゃ焼酎ではないか」と。
口伝された際に「特に意味は分かっていない語だ」と教えられたため、リズムだけ似た言葉に置き換わって間違えて覚えてしまったようです。
今になって考えると、語音から「胆」が推定されますのと、ストーリー上「言い返せもしない根性なし」のような義になりそうです。九州男児らしいおもむきがその奥に見栄隠れしているような気がいたします。
マニアック  投稿日時 2012/1/7 12:45
すなわち、「アンポンタン」とか「スカポンタン」という意味なのかな?
ゲスト  投稿日時 2011/12/6 21:31
『大分の民話』(土屋北彦,未来社)に大野郡三重町で採録された話があり、文中に「大野郡三重町新田地区高寺に太郎兵衛という独身の…」とありましたので、
高寺集落にポインティングしました。

http://g.co/maps/hr8ne
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