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長津呂のかくれ里(ながつろのかくれざと)

放送回No.0367(0230-A)
放送日1980年03月29日(昭和55年03月29日)
出典岸なみ(未来社刊)より
クレジット演出:白梅進 文芸:沖島勲 美術:門屋達郎 作画:白梅進
ナレーション市原悦子

あらすじ

むかし、南伊豆の長津呂(ながつろ)に与丸(よまる)という若者が母親と二人で暮らしていた。家に財産と呼べるようなものは、飼っている赤牛のアカくらいのものだった。それでも与丸はいたって気がやさしく、仕事のない日は浜辺の大岩の上で昼寝をするのがなによりの楽しみだった。

ところがこの与丸、ちょっと人が良すぎるところがあった。今日は庄屋さんの家で働いてきたのに、もらったお金は権左に貸してしまい、また吾作に貸したお金も返してもらっていない。この前は次郎兵衛の所で働いたのに、一銭ももらわずに帰って来たりといった調子だった。

ある日、与丸はいつものように浜辺の大岩の上で昼寝をしていた。起きてみると、いつも近くで草を食んでいるアカの姿が見当たらない。与丸がアカを呼ぶと、それに答えて「モ~~~」というアカの鳴き声が聞こえる。どうも鳴き声は大岩の中から聞こえてくるようだった。そして、与丸が鳴き声が聞こえてくる辺りを触ってみると、与丸は大岩の中に吸い込まれてしまう。

与丸が気がつくと、辺りは甘い香りが漂い、与丸がこれまで見たこともないような美しい景色が広がっていた。甘酸っぱい花の香りにつられて歩いて行くと、与丸はお爺さんがアカを連れて歩いているのを見つける。お爺さんは与丸に言う。

「これはこれは、与丸どの。牛を黙って借りてすまなかったのぅ。ところでの、与丸どの、この畑を鋤く(すく)一ヶ月ばかりあんたの牛を貸してはくれんかのぅ?」お爺さんはその代わりにと、与丸に蓮(はす)の種を一粒渡してまた言う。「その種を家に帰って水の中に蒔いてみなされ。良いことがありますぞな。」

ところが、アカを人に貸してしまったと聞いた与丸のおっかさんは、「アカを人に取られたら、どうやって暮らせばいいんじゃ。」と言って怒り、与丸が蓮の種を見せると「こんな物!!」と言って与丸の手をはたき、種は家の裏の池に落ちてしまう。

それからしばらく、与丸とおっかさんはアカの分までこれまでの何倍も働かねばならなかった。そんなある朝、与丸が目を覚まして何気なく裏の池を見ると、池にはきれいな蓮の花が咲いていた。その蓮の花はこの世のものとは思えぬ美しさで、あたかも極楽の景色のようだった。

またしばらくして、約束の期日になったので、与丸はアカを返してもらおうと浜辺の大岩の所に行った。与丸はお爺さんから礼を言われ、無事アカを返してもらった。ところが、家に帰ると、池の蓮の花は散っており、なにやら重そうな実をつけている。与丸が見てみると、なんと蓮の実は金の粒だった。金の粒はアカを貸した日数とちょうど同じ30粒あった。この金のおかげで、与丸の家はすっかり裕福になった。

しかしその後、与丸がいくら大岩のもとに行っても、二度と大岩の中に入ることは出来なかったそうな。

(投稿者: やっさん 投稿日時 2011-7-2 8:59 )


地図:静岡県賀茂郡南伊豆町石廊崎(地図は適当)

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