ちょうふく山に住む山んばが子どもを産んだから、ふもとに住む村人に祝いの餅をもって来いといいつけた。
村人は餅をついたものの、誰も怖がって持っていこうとしない。村人が話し合って、村一番の乱暴者のカモ安と権六に頼もうということになったが、二人も山んばが怖くて、道を知らないから行けないとごねた。そこで、村一番の年寄りの杉山の大ばんばが道案内役としてついていくことになった。
山を登っていく途中で山んばの声が聞こえると、カモ安と権六は大ばんばと餅を置いて逃げていってしまった。大ばんばはしかたなく餅をその場において、頂上まで行き、山んばの家を訪ねて、事情を話した。すると昨日産まれたばかりのまるという子どもがひとっ飛びで餅を担いで帰ってきた。
その後大ばんばは山んばに引き留められて二十一日間山んばの世話をして、そのお礼にと錦の反物を貰って帰った。村に戻ると自分が死んだものと思われていてちょうど葬式をしているところだった。大ばんばは事情を話して、山んばからもらった錦をみんなにも分けてあげたが、不思議なことにこの反物はいくら使ってもなくなることがなかった。
(稿: 蔵人 本掲載日2012-8-14 14:39 )
ナレーション | 常田富士男 |
出典 | (表記なし) |
備考 | 茨城の長福山だろうか? |
DVD情報 | DVD-BOX第8集(DVD第37巻) |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第1巻-第004話(発刊日:1976年4月30日)/童音社BOX絵本_第26巻(発刊日不明:1970~1980年頃)/国際情報社BOX絵本パート1-第040巻(発刊日:1980年かも)/二見書房まんが日本昔ばなし第1巻-第03話(発刊日:2005年10月17日)/講談社デラックス版まんが日本昔ばなし第18巻(絵本発刊日:1984年10月15日)/講談社テレビ名作えほん第003巻(発刊日:1977年5月) |
サラ文庫の絵本より | 絵本巻頭の解説によると「東北地方の昔ばなし」 |
童音社の絵本より | 絵本巻頭の解説(民話研究家 萩坂昇)によると「秋田県の昔ばなし」 |
講談社のデラックス版絵本より | “やまんば”とは山の神あるいは山の神に仕える女の事で、恐ろしい形相をした妖怪とされています。自然に対する畏怖の念が、このような想像上の人物を生み出したのでしょう。やまんばの話は全国各地にみられます。このちょうふく山のやまんばには恐ろしさだけでなく、やさしさ、あたたかさが感じられます。“子どもを産む”という大仕事を終えた身には、大ばんばの手助けが身に染みてうれしかったのでしょうか。それにしても、日ごろ威張っている男たちはさっさと逃げ帰り、やまんばに餅を届けたのが大ばんばだというのはおかしいですね。(東北地方のお話) |
講談社の300より | 書籍には地名の明記はない |
レコードの解説より | LPレコードの解説によると「東北地方の昔ばなし」 |
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