放送回 | No.0336(0211-A) |
放送日 | 1979年11月17日(昭和54年11月17日) |
出典 | おのちゅうこう(未来社刊)より |
クレジット | 演出:高橋信也 文芸:沖島勲 美術:馬場晴子 作画:三善和彦 |
ナレーション | 常田富士男 |
昔、ある村に茂十(しげじゅう)というお百姓がいました。
ある夜、茂十さんが一匹の塩鮭をぶら下げて家路を急いでいると、息子に化けた狸に騙されて、まんまと鮭を盗まれてしまいました。怒った茂十さんは、翌日に罠を仕掛け、見事イタズラ狸の捕獲に成功しました。
捕まえた狸を縛り上げ、意気揚々と仲良しの喜助(きすけ)さんの家へ行き、「一緒にタヌキ汁でも食おう」と誘いました。しかし、喜助さんは心の優しい人だったので「狸が可哀そうだよ」と言って、狸をいくらかの銭で買い取り、縄をほどいて逃がしてあげました。
ところで、喜助さんの土地はものすごい荒れ地で、田んぼにするため毎日一生懸命に耕していました。ある朝の事、喜助さんがいつものように裏の荒れ地にやって来ると、すでに立派な田んぼが出来上がっていました。
不思議に思った喜助さんは、その晩こっそり荒れ地の様子を見張っていました。すると、三匹の子狸を連れたあの狸がクワを持って現れ、みんなで掛け声をかけて荒れ地を耕し始めました。「やっこら どっこい うんこらしょ、やぶも 根っこも 掘りおこせ、秋にゃ豊年満作だ~」
唄を歌いながら荒れ地を耕す狸たちを見て、喜助さんは手を合わせて感謝しました。村人たちはこの田んぼを「たぬき田」と呼び、毎年秋になると、沢山のお米が収穫出来ましたとさ。
(紅子 2012-10-20 1:05)