放送回 | No.0289(0180-A) |
放送日 | 1979年04月07日(昭和54年04月07日) |
出典 | 花岡大学(鎌倉書房刊)より |
クレジット | 演出:落合正宗 文芸:沖島勲 美術:水野尾純一 作画:石井邦幸 |
ナレーション | 市原悦子 |
昔、京都の伏見に六兵衛という酒造りの名人がいました。六兵衛の作る酒は評判も良く、正直者で人柄の良い男だったので、商売も大繁盛でした。
ある日、酒蔵の前にクマンバチが巣をつくりました。使用人たちは「刺されたら危ないので今のうちにやっつけてしまおう」と言いましたが、六兵衛さんは「こっちから何かしなければ、蜂も刺さないから」と言って、そのままにしておきました。
やがて、クマンバチたちは酒樽から酒を飲むようになりました。使用人たちは、勝手に酒を飲む蜂たちに腹を立てましたが、六兵衛さんは「蜂の飲む量など大したこと無いから」と、蜂たちに好きなだけ酒を飲ませてあげました。
ある夏の事、六兵衛さんたちはいつものように馬に酒樽を載せて、遠くまで配達に出かけました。深い山の中の道にさしかかった時、突然山賊たちに襲われました。六兵衛さんたちは、一人一人バラバラに逃げたので全員無事でしたが、馬と酒樽を全部山賊たちにとられてしまいました。
すると、遠くからクマンバチの大群が押し寄せてきて、山賊の隠れていた洞窟の中へ突撃していきました。蜂たちは、中にいた山賊たちをさんざん追まわし、全身を刺しました。突然蜂の大群に襲われた山賊たちは、馬も酒樽も置いてどこかへ逃げていきました。
クマンバチのおかげで、六兵衛さんは無事、馬も酒も取り戻すことができました。蜂たちは、いつもお世話になっている六兵衛さんに恩返しをしたのです。
(紅子 2013-7-16 1:56)