放送回 | No.0262(0164-A) |
放送日 | 1978年12月16日(昭和53年12月16日) |
出典 | 石崎直義(未来社刊)より |
クレジット | 演出:青木久利 文芸:沖島勲 美術:木場正彦 作画:青木久利 |
ナレーション | 市原悦子 |
昔、ある村の大きなお屋敷の台所での話です。とっぷりと夜も更け、台所の野菜たちもみんな静かに眠っていました。
やがて壁の穴からネズミが出てきて、ザルの中の里芋を一つ蹴っ飛ばしました。すると下にあった豆腐にぶつかり、里芋とケンカになってしまいました。あまりのうるささに大根やらゴボウやらも起きてきて、ますます騒がしくなってしまいました。
とうとう、台所の奥にいた醤油樽(たる)も目を覚ましました。「やかましいなあ」と言いながら、醤油樽がゴロンゴロンと大きな音を立てて転がるので、野菜たちは「お前の方がうるさい!あっちへ行け」と口を揃えて抗議しました。
それに怒った醤油樽が、「じゃあオラは明日は働かない!明日の煮物の味が悪くなってもオラ知らんぞ!」と言って元の場所へ帰って行きました。これはシマッタ、と思った野菜たちは、慌てて元の場所に戻って行きました。
こうして野菜たちの騒ぎは静かになって、夜はしんしんと更けていきました。
(紅子 2011-11-22 1:15)