ある川の上流に、三富村という小さな村があり、権三郎(ごんざぶろう)という若者が年老いた母親と二人で暮らしていた。働き者の権三郎は笛を吹くのが大好きで、母親もその笛の音が大好きだった。
ある夏のこと、長雨と台風のせいで川が氾濫し、権三郎は家もろとも濁流に飲み込まれた。権三郎は必死に母親の手をつかんでいたが、激しい流れでその手が離れてしまった。翌朝、すっかり川も静まり返ったが、母親の姿を見つける事は出来なかった。きっと母親はまだ生きている、と信じ、権三郎は毎日々笛を吹きながら川に沿って探し歩いた。
冬がすぎ春がきたが、権三郎は探し歩き続けた。しかし、ある日を境に笛の音が聞こえなくなり、やがて権三郎の水死体が発見された。哀れに思った村人たちは、お坊さんを呼んで丁寧に葬ってやり、権三郎不動という小さな祠(ほこら)も立ててあげた。それ以来、この川を「笛吹川」と呼ぶようになった。
(紅子※サラ文庫の絵本より 2011-9-5 1:30)
ナレーション | 未見のため不明 |
出典 | クレジット不明 |
場所について | 権三郎不動(笛吹権三郎遺跡) |
本の情報 | サラ文庫まんが日本昔ばなし第29巻-第145話(発刊日:1979年4月28日) |
サラ文庫の絵本より | 絵本巻頭の解説には地名の明記はない |
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